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変形性膝関節症

2021.2.24/最終更新日:2022.9.26

変形性膝関節症の症状とは|初期〜末期の特徴を医師が解説

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変形性膝関節症の症状(病態)

​​変形性膝関節症とは、主に加齢を原因として膝関節の軟骨に徐々に摩耗が生じ、最終的には膝関節の変形を引き起こす疾患です。

主な症状として、

  • 膝の違和感や痛み
  • 膝の動かしづらさ
  • 膝の腫れ

などが挙げられます。

本記事ではこれら変形性膝関節症の症状について、「初期」「中期」「末期」の3段階に分けて詳しく解説していきます。

 

ただし、後述の「変形性膝関節症の進行度と症状」でもご説明していますが、変形性膝関節症の症状と病状の進行度は必ずしも一致しません。

本記事でご紹介する「初期」「中期」「末期」の3つの段階については、あくまでひとつの目安として考えていただけますと幸いです。

初期

動きはじめの違和感や痛み

変形性膝関節症の代表的な初期症状は、起床時や椅子からの立ち上がり、そして歩きはじめに感じる膝の動かしにくさや違和感・不快感・痛みです。

なんとなく動かしづらいという違和感、膝のこわばり、膝に重しがつけられているような感覚といった、痛みよりも「ちょっと膝が変」という程度の感覚から始まることが多いです。布団から出るとき、この違和感や痛みによってすぐに起き上がることができず、ゆっくり姿勢を整えないと布団から出られないケースもあります。

しかし、これらの違和感や痛みは、しばらくすると治まることが多いです。そのため、これらの初期症状は「ただの老化現象」「一過性の不調」と捉えられやすく、整形外科を受診せずに放置してしまうケースも多いです。

痛みや違和感の発生箇所としては、膝の内側に生じることが多いです。これは、日本人にはO脚傾向の方が多く、O脚によって膝内側の軟骨同士の距離が狭くなってすり減りやすいためです。(*1)

階段昇降時の痛み

変形性膝関節症初期の特徴的な症状として、階段昇降時の膝の痛みが挙げられます。階段昇降時の膝の痛みは、特に階段を降りるときに顕著に現れやすいという特徴もあります。

階段の昇降動作は歩くよりも膝に負担がかかり、体重の4~7倍の負荷がかかると言われています。そのため変形性膝関節症を示すシグナルとして、歩くことは問題がなくても階段で膝が痛むことが目安となることもあります。

このような痛みは、変形性膝関節症が進行するにつれて次第にひどくなっていくことが多いので、注意が必要です。変形性膝関節症は早めに気づくことができれば、症状が進行しないように様々な対策が可能です。ある程度の年齢を重ねて、当てはまる症状があれば変形性膝関節症を疑い、一度は整形外科を受診して診断をもらいましょう。

中期

動作中、持続する痛み

症状が進行するにつれ、動作開始時だけでなく動作中も膝が痛む、という状況になってきます。具体的には、変形性膝関節症初期には歩行では最初の1〜2歩だけ痛むという症状だったのが、歩いている最中はずっと痛む、という状態になっていきます。特に、重量のある荷物を持っての歩行では痛みが顕著になり、買い物帰りの歩行がつらくなることがあります。

歩くこと自体が苦痛となるため外出が億劫になり、運動を避けるようになっていきます。すると膝を支える筋肉が衰え、筋肉で体重負荷を分散できなくなり、軟骨や骨にかかる体重負荷がさらに増加して症状が進行、変形性膝関節症の痛みが増大、一層の外出控えにつながり悪循環に陥る、といった事態にも陥ります。

「ロコモ症候群」につながる可能性も

こういった症状の悪化が最終段階まで進むとロコモ症候群(運動器症候群)になりかねません。ロコモ症候群とは、膝などの運動器に生じている痛みや機能障害によって外出頻度が極端に下がったり、寝たきりになるなどして要介護状態に陥ってしまうことです。高齢であれば認知症のきっかけにもなるため注意が必要です。

 

上述の悪循環に陥らないよう、上記症状がみられるようになったら早めに整形外科を受診の上で適切な治療に取り組むことが大切です。仮に外出が億劫になってしまうほど悪化したとしても、運動療法で膝に関わる筋肉、とくに大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)を鍛えて膝関節へかかる体重負荷を筋肉で受け止められるように訓練することで、これらの症状を改善したり進行を防ぐといった対策は可能です。

いずれにしてもすこしでも症状に思い当たる点があれば早く整形外科専門医にかかるのが良いでしょう。

膝を曲げきる・伸ばしきることができない

変形性膝関節症は膝関節を変形させ、膝の曲げ伸ばしを困難にします。変形性膝関節症の症状がある程度進むと、膝を曲げられる角度が小さくなっていくことが確認された研究もあり(*2)、変形性膝関節症の特徴的な所見といえます。

加齢にともない、また、変形性膝関節症の痛みから動かすことを避けたりすることで、膝周辺の動作時に関わる筋肉や関連組織が衰え、固まっていきます(拘縮といいます)。これにより膝を満足に動かしづらくなっていきます。

さらに、変形性膝関節症は膝の軟骨がすり減って軟骨下の骨も損傷させていきますが、損傷した骨が過剰に修復しようとして骨棘(こつきょく)という骨のトゲを形成してしまうことがあります。一般に、変形性膝関節症が初期を過ぎて中期まで進行してくると、この骨棘が肥大化します。

これらの要因が重なり、変形性膝関節症がある程度進行すると、膝を深く曲げることが難しくなって正座ができなくなったり、膝をまっすぐ伸ばそうとしても伸ばしきれないといった症状が見られるようになります。

膝の腫れ

変形性膝関節症の症状が中期以降に差し掛かれば、「膝が腫れる」「膝に水が溜まる」(=水腫)という症状が現れます。

変形性膝関節症は膝関節に炎症を引き起こします。この炎症に対する反応として関節液が通常よりも多く分泌されることがあります。これがいわゆる”膝に水が溜まる”という状況をもたらし、外見的には膝関節が腫れてきます。この関節液が貯留し腫れる症状を「水腫」といいます。

変形性膝関節症ではない方の膝では、膝の皿(膝蓋骨)の輪郭が見えるはずですが、変形性膝関節症に伴い水腫が発生すると、膝の皿を覆ってしまい見えなくなってしまうことがあります。

外見的な症状の他、水腫が生じることで「膝が重い」「重だるい」と感じたり、「腫れている部分が熱い」と感じることもあります。その他にこの水腫を原因とした症状として、水腫が重度であるほど膝関節の運動機能にも障害をもたらすという報告もあり(*3)、放置することで日常動作に支障をきたす可能性が高いといえます。

治療として「穿刺(せんし)」と呼ばれる針と注射器で関節液を抜くことで一時的に症状を和らげる方法があります。ただし、この治療はあくまでも貯留した「水(関節液)」を抜くだけであって、これらが貯留する原因となる膝関節の炎症を和らげるわけではないので、再発する確率は高いと言わざるを得ません。

脚の変形

変形性膝関節症の名前にもなっている脚の変形が、中期から末期に掛けて顕著になっていきます。

変形性膝関節症の解剖学的な進行については様々に議論がされていることに加えて、その原因も単一ではないことから、どうして「脚が変形していくのか」については一概に述べられません。ですが、一般的に加齢を原因として徐々に進行していく変形性膝関節症においては、

  1. まず軟骨の表面がダメージを受け摩耗し、最終的には軟骨が消失する
  2. 消失した軟骨の下にある骨が露出する
  3. 血管や神経、リンパ管が存在しないのでほとんど修復が見込めない
  4. 加えて老年であることも重なって細胞基質群の代謝も落ちている

以上により(*4)、膝関節内の隙間が狭くなっていき、元に戻る可能性は低いといえます。

日本人はもともと0脚型の脚が多く、膝の内側(体の中心側)に荷重が偏る傾向があるため、内側の膝関節内部の隙間が狭くなり、どんどんO脚になります。

脚の横揺れ(側方動揺性、ラテラルスラスト)

ここまでご紹介の通り、変形性膝関節症は進行すると、日本人においてはO脚変形が目立ちます。

O脚変形が進行するとまっすぐ歩行することが困難となり、また、変形性膝関節症の進行に伴い膝関節・股関節・太もも、これらの筋力低下も伴って、歩行時の横揺れ(ラテラルスラスト)が強くなるとされます。(*5)

客観的な外見変化としては、歩行時、いわゆる「ガニ股」になって歩く、という症状が見られます。極端なガニ股歩きになってしまうことで他人に見られたくない、という思いから一層外出を避ける傾向を強めてしまう場合があり、そうすることでさらに筋力が低下して変形性膝関節症を増悪させてしまいかねません。

末期

移動困難

ここまでの症状が確認されていれば、歩くこともままならない状態に陥っていることも珍しくありません。歩行時には杖を使用したり、車椅子での生活になることもありえます。

人によっては、あまりの膝の痛みや、膝が満足に曲げたり伸ばしたりできないので自宅内では歩くことも立つことも避けるようになり、這いずって移動するようになってしまう場合もあります。

単に日常の動作ができないという問題にとどまらず、運動できない・外出できないということは脳の認知機能を低下させる要素の一つであり、変形性膝関節症の患者が高齢者に多いことから認知症の発症原因にもなりうる重篤な症状です。

脚の変形が非常に顕著に

変形性膝関節症の症状が末期まで進行すると、極端なO脚やX脚になることがあります。日本ではほとんどO脚になります。

変形性膝関節症は膝の軟骨を摩耗させると述べてきましたが、摩耗が積み重なると軟骨が消失して膝関節内の隙間がなくなってしまい、膝関節の変形だけでなく、スネの骨、太ももの骨、足・足関節なども合わせて変形してしまい、外見的に目立つほどのO脚になってしまいます。

もともと変形性膝関節症はO脚気味(日本人に多くはないもののX脚気味でも)の場合に発症しやすい疾患です。脚が歪んでいることで膝軟骨の一部分に体重負荷が集中しやすく、軟骨の摩耗が引き起こされやすいからです。

O脚であれば膝の内側、X脚であれば膝の外側の軟骨が重点的にすり減っていきます。そうなるとその隙間はどんどん狭くなり、O脚やX脚を顕著にしてしまうのです。隙間がなくなるということは関節の余裕がなくなるということであり、膝関節を曲げたり伸ばしたりすることを一層困難にしてしまい、ここまで挙げてきた様々な症状を一層増悪します。

 

変形性膝関節症によって脚が顕著に変形してしまうと、自力での歩行が難しく杖を使って出歩かざるを得なくなったり、外見的な変化が著しいので「他人に見られたくない」という気持ちから外出を一層さけるようになって引きこもりがちになってしまい、更に悪化したり、関節の顕著な変形にともなって運動機能を阻害して日常生活にも影響を及ぼします。

安静時痛

変形性膝関節症が末期まで進行すると動かずに安静にしていても膝が痛むという状態に陥ります。

立っているだけ、さらには横になって安静にしているだけでも膝が痛むことがあり、また、あまりにひどい場合には痛みで夜中に目が覚めてしまうこともあります。

このような変形性膝関節症の症状が出ている方の多くは、冒頭にご紹介した変形性膝関節症の進行度を分類する“KL分類”においても最も思いとされるグレード4に到達している可能性が高いです。つまり、症状だけではなく、解剖学的にも末期である可能性が高いです。

ここまで進行してしまった場合、もはや筋力トレーニングや薬を用いた治療では改善が見込めないと判断される可能性が高く、骨を切って脚の角度を調節する手術「骨切り術」や、損傷した膝関節を人工関節に入れ替える手術「人工関節置換術」が検討される段階となります。

変形性膝関節症の進行度と症状について

変形性膝関節症の進行度は、一般にKL分類と呼ばれる分類法にしたがって判定されます。X線撮影等で膝関節内の隙間がどれほど狭くなっているのかに従って1〜4の進行度に分類され、4が最も重い分類となります。

しかし、この分類方法上ではかなり進行していても自覚症状はあまりない、という患者さんも珍しくありません。たとえば膝関節内の隙間がほとんどなく、KL分類で変形性膝関節症グレード4という一番重症な状態と診断されても「あまり日常生活に支障がない」と感じられる方もいらっしゃいます。

変形性膝関節症は解剖学的な進行度に応じて症状が重篤化することもありますので(とくに脚の変形など)、症状の重さも変形性膝関節症のひとつの目安にはなります。しかし、先に説明したとおり”痛みが強い=進行が高度”と診断がつくわけでは無いことをご理解いただき、変形性膝関節症の症状が疑われる場合はきちんと医療機関を受診し、疾患や病状の進行度については医師に判断してもらいましょう。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の代表的な原因は以下です。

  • 加齢による長年のダメージの蓄積のあらわれ
  • もともとO脚・X脚であるなどの先天的な要素
  • 肥満体質で膝への負荷が大きい
  • 過去に膝周辺で骨折を経験している
  • 膝の半月板や靭帯を損傷、欠損しているなどの外傷既往

変形性膝関節症は膝の軟骨のすり減りが始まりです。その始まりやきっかけに一番多いとされるのは加齢と言われており、加齢に伴い筋力が落ちて体重負荷が軟骨に集中・軟骨や骨の代謝が落ちるなど、様々な要因が絡み合って発症に至るとされます。

変形性膝関節症の詳しい原因については「変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)の原因とは」を御覧ください。

変形性膝関節症の診断

変形性膝関節症に罹患しているかどうかは、整形外科医による診察と、レントゲンやMRIなどを用いた検査により診断されます。

診察においてはここまでご紹介してきた症状の有無や程度、レントゲン検査では膝関節における大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)との隙間がどの程度狭くなっているか、MRI検査ではレントゲンでは映らない軟骨の状態の確認を行います。

変形性膝関節症は国際的な進行度の分類基準としてKellegren-Lawrence分類(KL分類)と呼ばれる指標があり、上記診断に基づいて4つに分類されます。詳細については「変形性膝関節症のステージ分類とその診断方法について医師が解説」にてご紹介しています。

また、変形性膝関節症の治療法について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

変形性膝関節症の治療法12選|リハから再生医療まで

まとめ

解説してきましたとおり、変形性膝関節症は発症すればその痛みや症状によって外出などの運動から遠ざかり、より一層症状が悪化してしまう悪循環に陥りやすい疾患です。よって、発症初期に整形外科を受診し、適切な治療を受け、この悪循環に陥らないようにすることが大切と言えます。

ただし、仮に症状が進行している場合でも、手術によって症状からの解放が期待できます。また、最近では患者自身の体組織を活用する再生医療やバイオセラピーも登場しており、個人の実現したいライフスタイルに合わせて主治医と相談されると良いでしょう。

 

当記事をお読みの方におすすめの記事

 

※参考

石島 旨章 et al.「変形性膝関節症の病態・診断・治療の最前線」順天堂醫事雑誌.2013,59 P.138〜151

伊能 良紀「よくわかる膝関節の動きとしくみ」秀和システム 2014

小山 郁「スポーツ医師が教えるヒザ寿命の延ばし方」アスキー 2007

 

※脚注

*1…立花 陽明「変形性膝関節症の診断と治療」理学療法科学20巻 (2005)3号

*2…種継 真輝, 寺山 佳佑, 田村 滋規, 崎田 正博「早期・初期変形性膝関節症における変形重症度分類に 影響を及ぼす因子の検討」ヘルスプロモーション理学療法研究9巻 (2019)2号

*3…齊藤 明, 岡田 恭司, 斎藤 功, 木下 和勇, 瀬戸 新, 佐藤 大道, 柴田 和幸, 安田 真理, 堀岡 航, 若狭 正彦「変形性膝関節症における膝関節水腫と膝関節筋機能との関係」理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集) 

*4…久保 俊一, 高橋 謙二「関節軟骨の破壊と修復の機序」理学療法学 2001年 28巻 3号 p.70-75

*5…安永 雅克, 緒方 公介, 野見山 宏, 飯田 博幸, 有水 淳, 張 敬範, 西野 一郎「膝関節の側方動揺性に及ぼす諸因子の検討 (第2報)」整形外科と災害外科 1993 年 42巻 3号 p.986-990

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