関節治療オンライン

メニュー

人工関節

2020.9.15

人工膝関節置換術後に激しいスポーツができない理由

取材先の医師とクリニック

塚本 理一郎 先生

医療法人社団理嶺会
つかもと整形外科醫院

人工膝関節置換術とは

人工膝関節置換術は、変形性膝関節症や特発性膝骨壊死、関節リウマチやその他の原因により、軟骨の摩耗や壊死、炎症を起こした膝関節を人工の関節に入れ換える手術のことです。膝関節内にある、太ももの骨とすねの骨の表面を削り、金属と超高分子ポリエチレンでできた人工関節をいれることになります。

厚生労働省のデータによれば、平成29年4月から平成30年3月の間にも8万人以上の方が受けており*、ポピュラーな手術と言えます。軟骨の摩耗は歩行障害や炎症をもたらしますが、人工関節に入れ換えることによって再び歩けるようになったり、痛みから解放されるといったメリットがあります。ただし、その一方で健康だったときと完全に同じ動作ができるわけではないため、ある程度生活が制限されてしまうことも事実です。

 

人工膝関節置換術後、激しいスポーツが難しい理由

関節を人工物に置き換えるという性質上、術後の生活には制限があります。人工関節置換術も進歩を続けていますが、人工関節を長持ちさせて再手術を避けるためには破損する可能性のある行動を避けるべきだからです。よって深く膝を曲げる動作があるスポーツなどは推奨されません。人工膝関節の可動域を超えてしまい破損につながる可能性があるからです。

また、踏み込みのような膝を深く曲げる動作以外にも、ジャンプ動作があるスポーツは基本的にできません。ジャンプは膝に体重の4~7倍の負荷がかかるので人工膝関節の破損や緩みといった状況を引き起こす可能性があるからです。

術後に実施が難しいスポーツの例としてはバレーボールやバスケット、サッカー、ラグビーなどが挙げられます。他にも戻りたいスポーツがある場合は担当医師に術後の実施可否について直接確認してください。

 

人工膝関節置換術後でも可能なスポーツ

逆に「深く踏み込まない」「ジャンプをしない」スポーツは可能であり、その種類は幅広いものです。

例えばウォーキング、水泳、ゲートボール、ゴルフ、サイクリングなど、比較的膝への負担が少ないスポーツなどが挙げられます。

術後にスポーツ活動を行っていた症例は177例中44例(24.9%)で,約1/4の症例でスポーツを行っていた。内訳はウォーキングが32例と最も多く,水泳11例,ゲートボール4例,ゴルフ,サイクリング,登山が各2例,グラウンド・ゴルフ,社交ダンスが各1例と,すべて衝撃の少ないスポーツを行っていた(重複例あり)

※引用…関節外科 31巻 11号「TKA・UKA後のスポーツ活動と競技種目 特集 人工関節とスポーツ I. TKAあるいはUKA後のスポーツ活動」王寺享弘

 

人工膝関節置換術をおこなうタイミング

人工膝関節置換術は最終段階の治療です。膝関節の治療は主にヒアルロン酸をはじめとした保存療法を行い、それがうまくいかなければ手術という流れが一般的ですが、いまではその2つの間に再生医療やバイオセラピーという選択肢も登場しています。激しいスポーツに復帰したい場合には、それらの選択肢もご検討されるとよいでしょう。

また、手術に関しても骨を削り膝の角度を矯正する「骨切り術」と呼ばれる術後にスポーツがしやすい手術もあります。充分に主治医と相談し、様々な選択肢のなかから納得のいく選択をされることが重要です。

 

まとめ

今後も元通りにスポーツがしたい場合や手術が怖いといった場合には、まずはヒアルロン酸やリハビリで良くならないかを再度検討し、その上で再生医療やバイオセラピーといったご自分の膝を温存する選択肢をおすすめします。

それらを試してもスーパーへの買い物や旅行が億劫といった支障がある場合には、人工膝関節置換術を検討されると良いでしょう。術後の生活に多少制限はありますが、人工膝関節置換術は満足度の高い良い手術ですので、日常生活を取り戻す手助けをしてくれるはずです。

 

当記事をお読みの方は以下の記事もおすすめです

 

※参考文献

厚生労働省 第4回NDBオープンデータ(対象期間:H29年04月~H30年03月)

…日本リウマチ・関節外科学会雑誌 13 巻 (1994) 2 号「人工膝関節置換術後の可動域を左右する因子」龍 順之助, et al.

読んでわかる!疾患とその治療

近くの医療機関をみつける