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変形性膝関節症

2020.8.12/最終更新日:2022.6.20

変形性膝関節症の原因や種類、危険因子について医師が解説します

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変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)とは、主に加齢を原因として膝関節内の軟骨に少しずつ変性や摩耗が生じ、その結果として関節を構成している滑膜や骨に変化を引き起こすような退行性疾患(徐々に悪くなっていくような疾患)のことです。

変形性膝関節症が初期や早期の場合、たとえ痛みは無くても関節内では変化が生じている、という場合もあるため、無自覚でも変形性膝関節症を発症していることがありますので、50代を過ぎたら注意が必要です。

 

変形性膝関節症の症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
変形性膝関節症の症状(病態)や特徴について医師が解説します

 

変形性膝関節症は、①明らかな原因がなく、加齢や慢性的な機械刺激によって発症する一次性(原発性)のものと②外傷や炎症性・代謝異常疾患などに伴って発症する二次性(続発性)のものの2つに分けられ、変形性膝関節症の多くは一次性の変形性膝関節症になります。(*1

その他にも変形性膝関節症を発症・進行させる要因として、下記にご紹介するものが挙げられます。

加齢

年齢を重ねるにつれて膝に繰り返し外力がかかり、ダメージが積み重なっていきます。さらに年齢を重ねるごとに筋力も衰えて膝を支える力が弱まり、膝関節へかかる負荷が強くなります。このように加齢とともに膝への負荷が積み重なることが変形性膝関節症の原因となります。

女性

変形性膝関節症は圧倒的に女性に多い疾患です。その要因のひとつはホルモンにあります。

男性ホルモンの一種であるテストステロンは筋肉形成に関わっていますが、女性はそのテストステロンの血中濃度が非常にすくないのです。そのため膝にかかる負荷を吸収する筋力が男性に比べて少なく、変形性膝関節症に罹患しやすいと考えられます。

加えて、軟骨の形成にはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンが必要とされますが、女性は閉経後、このエストロゲンの分泌量が減少してしまうことも、変形性膝関節症になりやすい要因として挙げられます。

また、女性ホルモンは骨粗鬆症との関連が指摘されています。女性ホルモンが減少すると骨がもろくなる骨粗鬆症になりやすく、膝においても骨の変形や損傷を引き起こしやすくなる傾向にあるため、変形性膝関節症にも関与すると考えられます。

そして、変形性膝関節症を引き起こす原因はホルモンだけではなく、女性特有の身体的特徴も影響していると考えられます。女性は男性と比べると骨盤が広いうえ、下肢の横揺れを支える筋力(中殿筋)が少し弱いことが特徴です。よって脚全体に”スラスト”と呼ばれる横揺れの外力が加わりやすく、これが膝に負担をかけてしまうのです。

このように女性には変形性膝関節症にかかりやすい理由が複数あります。年齢を重ねてきたら変形性膝関節症にかかっていないか定期的にチェックを行い、予防を心がけることが理想的です。

肥満

年齢に関わらず発症する可能性があるのは、肥満などの体重による膝への過剰な負荷です。特に急激な体重増加は、膝を痛めやすいので注意が必要です。

膝にかかる負担は、歩く時には体重の約3倍、階段の昇降時には約7倍にもなるといわれています。(*2)つまり、体重が1kg増えると、歩く際に膝にかかる負担は約3kg、階段の昇降時は約7kg増えることとなり、急激な体重の増加は変形性膝関節症の大きなリスクとなります。(*2)体重が増えて膝の痛みを感じるようであれば無理のない範囲で体重を落とすことを心がけましょう。

体重増加により膝を傷めると運動を避けてしまいがちです。そのため運動不足になり、結果としてさらに体重が増加するといった悪循環に陥ることが少なくありません。散歩のような軽い運動すら困難なほど膝が痛い場合には早めに医療機関を受診しましょう。

O脚

O脚は膝の内側に体重負荷が集中することで軟骨や骨の損傷・変形を生じやすいという特徴があります。また、O脚の方は下肢全体にスラストという横揺れが出やすく、それがさらに膝に負担をかけることで変形性膝関節症を発症しやすくなります。

一度発症するとさらなる負担で内側の軟骨の変性や摩耗が生じ、骨の変形も進行するためO脚がさらに悪化して変形性膝関節症を進行させます。

初期の頃は外見上の変形しかないこともありますが、症状が進行すると、次第に痛みや曲げ伸ばしのしにくさを感じるようになっていきます。

膝への負担が大きい仕事

日頃から膝関節に負担のかかる生活や仕事をしている場合も、変形性膝関節症になりやすくなります。

具体的には、しゃがむ姿勢の多い農業や、重い荷物を運ぶ運送業、建設業、長時間立ちっぱなしで仕事を行う調理師や理髪師などの接客業は、膝への負担が大きい仕事といえます。(*2

また、サッカーやテニスなど、急に走り出したり立ち止まったりする動作の多いスポーツも、膝への負担が大きいため、日頃からこのようなスポーツを行っている方は注意が必要です。(*2

遺伝

変形性膝関節症になりやすい要因のひとつとして、遺伝もあることがわかっています。

過去に行われた疫学調査からは、「DVWA」と呼ばれる変形性膝関節症の発症に関わる遺伝子の存在が明らかになっており、このDVWAに特定の「SNP」と呼ばれる塩基(DNA)配列がある場合、変形性膝関節症の発症リスクが1.6倍になるとされています。(*2

変形性膝関節症の診断や治療方法について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
変形性膝関節症のステージ分類とその診断方法について医師が解説
変形性膝関節症に対する治療の種類や特徴について医師が解説

当記事をお読みの方は以下の記事もおすすめです

 

※注釈

*1…立花陽明(2005).「 変形性膝関節症の診断と治療」『 理学療法科学』20(3), pp235-240.

*2…小俣 孝一(編)(2020).『ひざ痛 変形性膝関節症 ひざの名医15人が教える最高の治し方大全 聞きたくても聞けなかった137問に専門医が本音で回答!』.文響社.

 

※参考文献

内尾 祐司(編集)(2019).『ここが大事! 下肢変形性関節症の外来診療』.南江堂.

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