関節治療オンライン

メニュー

筋腱

2021.2.2

鵞足炎(がそくえん)とは?膝の内側が痛む鵞足炎を医師が解説

取材先の医師とクリニック

野本 聡 先生

足立慶友整形外科

鵞足炎(がそくえん)とは?

鵞足炎とは、膝の「鵞足(がそく)」と呼ばれる部位が炎症を起こしている状態です。この「鵞足(がそく)」とは、膝から5cmほど下がったすねの内側にあり、脛骨(けいこつ:すねの骨)に縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つがくっついている場所のことです。外見がガチョウの足に似ているという理由で鵞足という名前がつけられました。

 

 

 

鵞足炎の症状

鵞足炎の主な症状は痛みです。鵞足(膝から5cmほど下がったすねの内側)を押すと痛んだり、運動後に痛みが出たり、痛みだけでなく腫れを伴ったり、熱を持ったりすることもあります。

深刻な場合には、安静にしていても鵞足が痛むことがあります。ズキンと痛むような感じを伴います。

 

鵞足炎の原因

上述の通り、鵞足は縫工筋、薄筋、半腱様筋という3つの筋肉がまとまってくっついている場所であるため、動作負荷が集中しやすい構造となっています。これら3つの筋肉は、膝の曲げ伸ばしや膝から下を外側へひねる動作で働きます。

よって鵞足炎は、膝の曲げ伸ばしを頻繁に行ったり、膝から下を外側にひねる(特に外側へのひねり)動作のある運動を継続的に行ったりするアスリートの方に多く見られる疾患です。

原因となるスポーツは多岐にわたりますが、中でも多いのがランニング、バスケットボール、サッカー、水泳の平泳ぎといった、膝に負担のかかるスポーツです。

 

特に下記のような要因が重なることで鵞足炎へと発展します。

  • サイズや形が合っていないシューズの使用
  • 運動する際のフォームや方法が不適切
  • 準備運動やストレッチ不足
  • 運動不足解消のため急に運動を始める
  • 体が硬い
  • もともと膝に疾患がある

 

中高年のアスリートの場合は、変形性膝関節症と症状が似ているので注意が必要です

変形性膝関節症の方は、膝の内側でも鵞足より少し上の部分、関節裂隙(関節の隙間)を中心とした部位に痛みを訴えます。

変形性膝関節症と鵞足炎では治療が異なりますので注意が必要です。

 

鵞足炎の治療

治療方法

薬物療法とアイシング、そしてストレッチを行います。

鵞足炎は炎症であり、この炎症が痛みを引き起こしています。痛み止めの投与や消炎鎮痛剤の塗布によって痛みをしずめ、アイシングによって炎症による熱感を取り除きます。痛みを鎮めた後はストレッチなど次の治療段階に進めるよう準備します。

炎症が静まり、ある程度膝を動かせるようになったらストレッチを行っていきます。鵞足にくっついている筋肉を伸ばすことで、脚を動かした時に鵞足部にくっついている筋肉とつながっている腱に過度なストレスがかからないように改善します。

硬い筋肉が伸び切ってしまうと、脛骨に付着している腱に剥がれるようなストレスがかかってしまいます。これが炎症につながるため、ストレッチを行い筋肉の柔軟性を上げ、炎症が起こらないようにしていきます。

 

再発を防ぐ

鵞足炎は再発しやすいことが特徴です。というのも鵞足炎の主な原因は、お伝えしたとおり動作の繰り返しや膝のオーバーユース(使いすぎ)にあるからです。特に鵞足炎になりやすい方には、鵞足に負担のかかるフォームや癖があることが多いことがわかっています。

したがって、鵞足炎がある程度回復したからと言ってそのまま競技に復帰すると、一度壊れた鵞足に再度負担が集中し、すぐにまた鵞足炎になるという悪循環に陥ってしまいかねません。

まずは焦らずに鵞足炎をきちんと治すことはもちろんのこと、医師や理学療法士、トレーナーと共に、いかに再発しないようにフォームや癖を修正するかという点が非常に大事です。また、使用しているシューズなどがきちんと体に合ったものかどうかを確認することも大切な再発防止策です。

 

バイオセラピーの活用

様々な治療法を試しても治らない頑固な痛みや、大会が近いなどですぐに治療しなくてはならない場合にはPRP療法やPFC-FD療法といったバイオセラピーを活用することも選択肢として考えられます。

下記ボタンからバイオセラピーを提供している全国の医療機関を探すことが出来ます。もし既存の治療以外の方法を探している場合には一度ご相談だけでもされると良いでしょう。

 

鵞足炎に有効なストレッチ

1.大腿後面のストレッチ

太ももの裏側の筋肉を伸ばして柔軟性を獲得し、鵞足炎を予防するストレッチをご紹介します。

あぐらをかいて床に座ります。片脚を伸ばし、もう一方はあぐらのままです。この状態で体を前方へ倒し、10~20秒の間、この状態を維持します。伸ばした脚の裏側で筋肉が伸びるのを感じることができるでしょう。

これを10回以上繰り返しましょう。

 

2.太もも内側の筋肉のストレッチ

1.のストレッチと同様の姿勢になり、今度は伸ばした脚のつま先を内側に倒します。そして伸ばした脚の方へ体を倒していきます。伸ばした脚の太ももの内側の筋肉が伸びることを感じながら行いましょう。

こちらも10回以上繰り返しましょう。

 

鵞足炎のまとめ

鵞足炎は、痛みがいったん消えてもスポーツを再開すると再発を繰り返しやすい疾患です。再発や長期化を予防するためには、鵞足炎の根本的な原因を明らかにし、そこを改善しなくてはなりません。

動作の癖や脚の姿勢、筋肉の硬さなどを専門医や理学療法士にチェックしてもらい、正しい動作や姿勢を身に着けるようにしてください。また、シューズ選びやスポーツを行う環境にも注意を払うこと、そして鵞足炎予防のためのストレッチ運動を十分に行うことも大切です。

最後に、急な運動負荷と運動のしすぎ(オーバーユース)にも注意を払うようしてください。そうしたことが、鵞足炎を予防し、長くスポーツを楽しんでいただくコツといえましょう。

 


※参考

…「スポーツ選手における鵞足炎の臨床的特徴と我々の運動療法成績についての検討」東海北陸理学療法学術大会誌 第23回東海北陸理学療法学術大会 林 優 et al.

…「ランニングにより生じる膝過労性障害の治療」日本医事新報 (4448): 60-64, 2009. 石橋恭之

 

読んでわかる!疾患とその治療

近くの医療機関をみつける