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スポーツ外傷 変形性膝関節症 筋腱 膝蓋腱 半月板

2021.2.2

階段で膝が痛いときの代表的な疾患一覧

取材先の医師とクリニック

二木 康夫 先生

階段を登り降りするときに膝が痛い理由

階段を登り降りするとき、膝には体重の4~7倍の負荷*がかかると言われています。それゆえ、膝に異常が発生している場合には階段を登り降りする際に症状が出やすいと言えます。

本記事ではどのような疾患が階段昇降時の痛みを引き起こすのか、チェックポイントと共に解説していきます。

 

 

階段昇降時に膝が痛い代表的な原因

変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)

 

症状の詳細・チェックポイント

・年齢が40歳を超えている

・歩きはじめるときに痛い

・正座をすることが難しい

・O脚かX脚気味

・水腫(膝に水が溜まって腫れる状態)がある

・体重が増加してから膝が痛い

・膝が伸びきらなくなった

 

概要

階段を登り降りする際に膝が痛い原因として最初に候補に挙がる疾患は「変形性膝関節症」です。

変形性膝関節症は、主に加齢を原因として女性に多く見られる膝の疾患です。加齢とともに徐々に軟骨が摩耗・変性し、最終的にO脚・X脚が進行していきます。

全国に推定2500万人の患者がいると言われており、膝の痛みを引き起こす代表的な疾患です。

 

注意点

変形性膝関節症の初期症状はそこまで重いものではありませんが、放っておくと年月をかけて徐々に悪化し、最終的には痛みや膝関節の変形のために歩くことすら難しくなることがあります。早めに整形外科専門医にかかり治療や悪化予防に取り組むことが重要です。

 

治療法

初期であったり症状が軽度な場合には痛み止めや湿布などの薬物療法や運動療法といった治療の他、足底板による装具療法やヒアルロン酸注射などの保存的治療が取られます。

しかし、軟骨の摩耗や骨の変形が著しい場合や外出が困難なほど症状が深刻化している場合、膝関節の軟骨や骨を人工関節に入れ替える手術も検討されます。

変形性膝関節症に対する治療は多岐にわたります。治療の種類やその詳細に関してさらに詳しく知りたい場合はコチラの記事も併せてお読みください。

 

最近では、保存的治療と手術の間の選択肢として、血液や脂肪といった自己組織を活用した生物学的治療により、組織の再生を期待する治療も登場しています。より詳しい説明はコチラをご覧ください。

 

特発性骨壊死(とくはつせいこつえし)

症状の詳細・チェックポイント

・軽微な外傷がきっかけで始まった膝の激痛

・水腫(膝に水が溜まって腫れる状態)がある

・安静時や夜間に膝に痛みが生じる

・年齢が50歳を過ぎている

 

概要

特発性骨壊死とは、何らかの原因で急に発生する骨の壊死です。軟骨の下層の骨に微細な骨折(軟骨下骨骨折)が継続的に発生し、血流が途絶し骨が壊死していきます。壊死した周囲は骨髄浮腫となり、ときに骨が陥没することもあります。

明確な原因はわかっていませんが、最近では内側半月板の後角(後ろ側)に加齢や外傷によって亀裂が入ることにより半月板の衝撃吸収能力が減退し、膝の骨にかかる負担が増大することで亀裂骨折をおこすのではないかと考えられています。

 

注意点

膝関節には擦るような力(剪断力)や体重負荷もかかり続けるため、微細であっても一度骨折が生じると自然治癒しにくく、次第に血流が分断されてしまい骨に栄養が届かなくなります。軟骨は関節液から栄養を受け取っているためしばらくは問題ありませんが、土台である骨が壊死してしまうために一定期間が経過すると軟骨は変性します。

 

治療法

初期であれば消炎鎮痛薬や内服薬による薬物療法や、足底板という外側が高くなっているインソールと杖を用いた装具療法を行い、進行を防ぐとともに痛みを抑えます。このように壊死部の骨にこれ以上の負担がかからないように治療することで自然と壊死部が回復することもあります。

症状が初期を過ぎ、壊死した骨の陥没が激しいような場合には手術を検討することもあります。脚の角度を矯正することで壊死部への負担を軽減する「骨切り術」や、膝関節の骨と軟骨を人工物へ入れ替える「人工関節置換術」などが挙げられます。

 

20代など若い方で階段昇降時に膝が痛む場合

半月板損傷

症状の詳細・チェックポイント

・膝の曲げ伸ばしがしにくい、引っかかる感じがする

・一定の角度以上に膝を曲げたり伸ばしたりできなくなる

・水腫(膝に水が溜まって腫れる状態)がある

・激しいスポーツに取り組んでいる

・激しいスポーツはしていないが50歳を超えている

 

概要

半月板損傷は、膝の大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に存在し、膝にかかる衝撃の吸収や膝を滑らかに動かす役割のある半月板という軟骨が損傷してしまった状態です。

20代などの若い年齢の場合には主に激しいスポーツによって損傷することがあります。損傷したときには激しい痛みを感じ、動けなくなるほどです。

また、年齢を重ねると半月板も衰えていきますので、50歳を過ぎた方であれば脚を踏み込んだだけでも半月板が損傷する可能性もあります。

 

注意点

半月板には血流が乏しく、損傷が自然に治癒しにくいことが特徴です。半月板損傷をそのままにしておくと半月板が吸収していた衝撃が膝関節にかかり続け、年月を経て先述の変形性膝関節症になってしまうという事態になりかねませんので、早めに整形外科を受診し治療を受けることが大切です。

 

治療法

半月板は自己修復しにくい組織です。そのため、内視鏡を用いて損傷(断裂面)を縫合してつなげる手術や、損傷でささくれのようになった部分を切除する部分切除術といった手術を行うことが多いです。

また、半月板を損傷した場合に周囲の滑膜という組織が炎症反応を起こすことがあります。その場合には炎症を鎮める目的として血液由来の生物学的治療による抗炎症作用を期待できる場合があります。

 

半月板損傷の詳しい症状や原因、治療法についてはコチラでも解説されていますので、症状のチェックポイントに当てはまることがある場合にはぜひご覧ください。

 

膝蓋腱炎(別名:ジャンパー膝、ジャンパーズニー)

症状の詳細・チェックポイント

・膝を伸ばして膝の皿の下か上を圧迫すると痛い

・ジャンプ動作のあるスポーツに継続的に取り組んでいる

 

概要

膝蓋骨(いわゆる膝の皿と呼ばれる骨)の上下に存在し、太ももの筋肉とすねを結んでいる“腱”を膝蓋腱と呼びます。度重なるジャンプ運動を原因とする疾患で、ジャンプを繰り返して罹患することが多いために「ジャンパー膝」「ジャンパーズニー」という別名で呼ばれることもあります。

バスケットボールやバレーボールなど、頻繁にジャンプ動作を行うスポーツで生じることが多いです。また、ジャンプ以外にも膝を曲げ伸ばしする動作を伴う運動で受傷することがあり、ランニングやサッカーなど様々なスポーツが原因となります。

通常は安静にすることで回復しますが、日常的にハードな運動を継続して行っている場合、修復が追いつかずに治療が必要となることがあります。

 

膝蓋腱炎は元サッカー日本代表の内田篤人選手が手術を受けたことでも知られている疾患です。継続的に十分な休息なくスポーツに取り組んでいる場合には注意が必要です。

 

治療法

十分に休息を取ることが初歩的な治療です。それでも良くならない場合は超音波療法やリハビリを行います。

稀ですが、最悪の場合に膝蓋腱の一部が壊死している事があり、その場合には手術が必要となります。より詳しい解説や予防法、自分でできるストレッチなどについてはコチラの記事でも解説しています。

 

まとめ

変形性膝関節症で痛い場合には、変形性膝関節症の治療をしなくてはいけません。膝蓋腱炎で痛い場合には、膝蓋腱の治療をしなくてはいけません。原因に応じた適切な治療が必要であり、そのためには正確な診断が重要になります。

膝の痛みは我慢せず、しかるべき診断を受けましょう。我慢してスポーツを続けてしまうと慢性化したり、最悪の場合には組織が壊死してしまったりします。

受診が遅くなるほど選択肢は狭くなりますが、初期段階であれば治療の選択肢は広いです。違和感を感じたら、速やかに受診するようにしましょう。

 


*参考

…『よくわかる膝関節の動きとしくみ』 伊能 良紀 秀和システム 2014

…『スポーツ医師が教えるヒザ寿命の延ばし方』 小山 郁 アスキー 2007

読んでわかる!疾患とその治療

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