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PFC-FD

2020.7.13/最終更新日:2022.7.27

PFC-FD™療法(血液由来の成長因子を用いたバイオセラピー)とは

PFC-FD™療法とは?

血小板の働きを利用した関節治療

PFC-FD™療法とは、患者自身の血小板に含まれる成長因子を活用するバイオセラピーで、関節や筋腱の疾患・損傷に対する注射によるアプローチです。

PFC-FD™は、血小板の力を活用する治療法であり、血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したものの商品名・サービス名となります。「PFC-FD」は、セルソースがPlatelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dryという造語の頭文字から名付けました。
PFC-FD™療法は血小板が傷を治す際に放出する”成長因子”の働きを活用し、人体がもともと持っている「治癒力」を高める治療法です。

ゴルフのタイガー・ウッズ選手や、野球では大谷翔平選手が怪我の改善に活用したことで話題になった再生医療「PRP(多血小板血漿)療法」がありますが、PFC-FD™療法はそのPRP療法を応用した技術になります。

現在ではPRP同様に関節症や、関節周囲の靭帯や軟部組織の治療に活用が始まっています。

PRPとPFC-FD™の違い

PRPは自己血液を遠心分離して得られる血小板が多量に含まれた液体(多血小板血漿)のことですが、PFC-FD™は自己血液からこのPRPから成長因子を取り出して凍結乾燥(フリーズドライ)したものです。血小板に含まれる成長因子には、PDGF、FGF、EGF、VEGF、TGF-βなどがあり(*1)、これらの成長因子を注射することで、体内(患部)で組織治癒や炎症抑制に寄与することが期待されています。

PFC-FD™療法で改善が期待できる疾患

PFC-FD™の注入によって改善効果が期待できる疾患はおおまかに下記のようになっています。

大別 対象部位 疾患名称例 主なPFC-FD™使用例
変形性関節症
足首
変形性膝関節症
変形性股関節症
注入後、運動療法(リハビリ)と併用
靭帯損傷
膝十字靭帯損傷
肘関節靭帯損傷
注入のみ、もしくは術後回復を早める補助
腱炎
足首
膝蓋腱炎
アキレス腱損傷
注入のみ、もしくは術後回復を早める補助

 

現在もっとも活用されている疾患は膝に生じる変形性膝関節症です。ですが靭帯損傷や腱炎といった他の運動器疾患でも効果が期待されており(*3)、スポーツ選手を中心に様々な治療に活用され始めています。

PFC-FD™療法に期待される効果

関節内で炎症を起こしているような状況では、PFC-FD™を関節内に注入(注射)することで炎症を抑制、痛みや腫れの緩和が期待できます。その効果には個人差がありますが持続力があり、概ね3ヶ月から半年ほどと見られています。(*2)

ここではPFC-FD™療法が最も使用される疾患である“変形性膝関節症”に対するPFC-FD™療法の効果を研究結果(*4)をもとにご紹介します。この研究では、306膝に対してPFC-FD™の投与を行い、患者アンケートを用い実臨床における治療成績を測定しています。

疼痛軽減

膝痛に悩む人

PFC-FD™療法を変形性膝関節症に対して実施した際に期待される特徴的な効果は、疼痛の軽減です。痛みが軽減されたかどうかを、下記のような質問項目から点数化します。

  • 膝をひねったり回したりするときの痛み
  • 膝を完全に曲げるとき・完全に伸ばすときの痛み
  • 階段を上り下りするときの痛み
  • 夜、寝ているときの痛み

   これらのシチュエーションにおいて痛みをどの程度感じるか、100点満点にならして採点します。

研究(*4)では、PFC-FD™療法実施の前後に上記KOOSで膝の痛みの変化を測定しています。100点満点中、平均49.4ポイントだった治療前の値が、術後1ヶ月後には11.5ポイント改善し、3ヶ月後には14.4ポイント、半年後には16ポイントの改善が見られています。

症状改善

PFC-FD™療法を変形性膝関節症に実施した場合に症状の改善も認められています。膝の”症状”の変化は、下記のような質問項目から点数化します。

  • 膝に腫れがあるか
  • 膝を完全に伸ばせるか・完全に曲げられるか
  • 動いている最中に膝が引っかかったり、動かなくなったりするか

これらの症状がどの程度出ているか、100点満点にならして計測します。

研究(*4)では、これらの膝の症状がPFC-FD™療法の実施から1ヶ月後には平均53.1ポイントから62.4ポイントへ7.3ポイント改善し、3ヶ月後には10.5ポイント、半年後には12.2ポイントの改善が見られています。

日常生活動作におけるストレス軽減

太ももの筋肉を鍛える運動の様子

変形性膝関節症の患者の方は、日常生活動作に支障をきたすことが少なくありません。日常生活動作における膝に関する質問は下記のようなものがあります。

  • 階段の上り下りが困難
  • 座った状態から立ち上がることが困難
  • 買い物に行くことが億劫
  • ベッドから起き上がるときに不自由や困難を感じる
  • 家事を行うときに不自由や困難を感じる

これらのストレス項目について、どの程度当てはまるかを回答してもらい、それを100点満点にならして採点します。

研究(*4)では、この日常生活動作で感じるストレスの度合いがPFC-FD™療法を実施してどのように変化したかを明らかにしています。PFC−FD™療法実施から1ヶ月後には7.7ポイント改善し、3ヶ月後には10.0ポイントの改善が見られています。

スポーツ活動におけるストレス軽減

変形性膝関節症に罹患すると、関節機能の低下に伴ってスポーツ活動に取り組むことが困難になるケースが少なくありません。趣味のスポーツに満足に取り組むことができずに悩むこともあるでしょう。

研究では、下記のスポーツ動作をする際にどの程度困難を感じるか、もしくはその動作を全くできないかどうかなどを評価します。

  • しゃがむ
  • 走る
  • ジャンプ
  • 膝をひねったり回したり
  • ひざまずく

研究(*4)では、スポーツ活動に関する質問項目において、PFC-FD™療法実施から1ヶ月後には12.3ポイント改善し、3ヶ月後には15.4ポイント、半年後には17.2ポイントの改善が見られています。

持続力

スニーカーを履いてウォーキングする男性

膝関節機能に関する様々な項目において、PFC-FD™療法を実施してから12ヶ月後も評価値が改善していることが研究から明らかになっています(*4)。

PFC-FD™療法は疼痛軽減などの、ここまでご紹介してきた効果が期待できますが、単にそれらの効果があるというだけでなく、その長期的な持続も期待できる/、ということです。

この持続力を活かし、症状が抑えられている間に運動療法をおこない患部周辺の筋肉を鍛えることで関節への負荷を減らすことができるため、QOL(生活の質)の改善へとつながります。また、痛みが軽減することで運動がしやすくなり体重低下に成功すれば、さらに膝関節にかかるストレスが軽減する、という好循環を獲得できる可能性もあります。

PFC-FD™療法のメリット

①安全性が高い

PFC-FD™は患者様ご自身の血液から製造されるため、他人の組織を使った治療や薬物による治療と比べると、拒否反応や感染症リスク、その他の副作用が少ない治療と言えます。

もちろん注射特有の痛みはあります。また、稀に一週間程度の腫れが残ってしまう場合もありますが、速やかに日常生活に戻れることがほとんどです。

②施術が簡便

PFC-FD™療法は医療機関への原則2回の訪問で完了します。手術や入院といった負担がなく、注射を受けた日に歩いて帰ることも可能です。

ただし、PFC-FD™療法はその抗炎症作用で痛みが引いている間に運動療法を取り入れることで効果を最大化できるため、施術後に運動療法の指導を受けるための通院が推奨されています。

PFC-FD™療法のデメリット

①自由診療のため治療費は自己負担

PFC-FD™療法は新しい治療であり、公的保険適用ができない「自由診療」という枠組みのなかで行われています。保険診療の場合、治療を受ける方の支払う費用は治療費の一部で済むのに対し、自由診療では全額自己負担となります。

PFC-FD™療法は自由診療であることから、治療にかかる費用は医療機関により異なるため、治療を提供している各医療機関へ直接お問い合わせいただくことが確実です。

②効果にばらつきがある

PFC-FD™療法は個人の血小板に含まれる成長因子の働きを活用した治療です。そのため、一般的な薬と違い効果にばらつきがあります。

個人の血小板やそれに含まれる成長因子の働きによって効果が変わるので、あまり働きが強くない方の場合には効果が薄かったり、逆に働きが強い方の場合は思ったよりも効果が出ると言ったことが想定される治療になります。

③未発見のリスク

ご自身の血液を利用した治療法のため、拒否反応やアレルギーリスクは非常に少ないと考えられ、深刻な有害事象は報告されていません。

とはいえ、新しい治療ということもあり臨床データがまだ少なく、今後新たなリスクが発見される可能性がないわけではありません。

PFC-FD™療法を受ける流れ

PFC-FD™療法の流れをご説明いたします。加工の過程は厚生労働省の認可を受けた細胞加工センターでの製造工程を掲載しています。
このうち、患者様が医療機関へお越しいただく必要があるのは「①採血」と「⑥患部へ注入」のみになっています。

① 採血

PFC-FD™療法を提供している医療機関で採血を受けます。患者様から約50mlの血液を採取し、厚生労働省認可の細胞加工センターに送られます。

患者様に特別な準備は基本的に必要ありません。

 

② 抽出(PRPの作成)

細胞加工センターに届けられた血液を、遠心分離機にかけ、PRP(多血小板血漿)を作成します。

 

③ 活性化

塩化カルシウムを加えることによりPRP内の血小板が持つ成長因子を活性化させます。

この工程によってPRPから、血小板のもつ成長因子を活性化した液体「PFC」が完成します。

 

④ セルフリー加工

「セルフリー加工」とは「無細胞加工」と訳され、作製されたPFCに残った細胞を専用のフィルターを使用して濾過することにより除去します。
なるべく成長因子が直接患部に届くようにこの処理が行われます。

 

⑤ フリーズドライ

無細胞加工が施されたPFCを凍結乾燥します。凍結乾燥することにより長期保存(約6か月間)と輸送の簡便化が実現できます。

また、成長因子成分の含有量やその働きに対してこの凍結乾燥技術による影響はなく、生理食塩水で溶くことで元の状態へと戻すことができます。フリーズドライ後のPFCが「PFC-FD™」と呼ばれる状態です。これで「PFC-FD™」の完成です。

 

⑥ 患部へ注入

採血からおよそ3週間後、医療機関にて患者様が来院するタイミングに合わせて凍結乾燥された「PFC-FD™」を生理食塩水で液体に戻します。液体に戻した「PFC-FD™」を患者様の患部へ注射することでPFC-FD™療法は完了となります。


PFC-FD™療法を受けるには

関節の痛みや炎症を沈め、症状の改善を促すPFC-FD™療法は、全国の様々な医療機関で提供されています。

下記ボタンから地域別にPFC-FD™療法を提供している医療機関をみつけることが出来ます。「近くに提供している医療機関があるか知りたい」「治療の費用や詳細について問い合わせたい」「まずは医師の説明を受けたい」という方はお電話にてお問い合わせ下さい。

 

 

※脚注

*1…Functional Food Research 16 (2020) 「変形性膝関節症に対する新しい治療“PRP療法”について」齋田良知

*2…Regenerative Therapy11 (2019)5-7 「Can intra-articular injection of freeze-dried platelet-derived factor concentrate regenerate articular cartilage in the knee joint?」 Tomohiko Shirata,Yuki Kato

*3…別冊整形外科 1巻76号 (2019年10月)運動器疾患に対する保存的治療――私はこうしている Ⅴ.下肢疾患に対する保存的治療 「内側半月板の脱出を伴った変形性膝関節症患者への多血小板血漿注射の効果」戸田佳孝

*4…大鶴 任彦 et al. 変形性膝関節症に対するBiologic healing専門クリニックの実際とエビデンス構築.  -基礎と臨床 2020年9月号 特集:幹細胞・PRP・衝撃波−Biologic healingのエビデンス. 関節外科. 2020年9月. vol.39 No.9. 945-954

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