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PFC-FD 変形性膝関節症

2021.9.27

変形性膝関節症とPRPを応用した技術「PFC-FD療法」

PRP療法を応用した技術「PFC-FD療法」とは

PRP療法とは

PRP療法とは、血液中の血小板や白血球を濃縮して作製する液体である多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)を活用した治療法のことです。

怪我をしても出血が徐々に収まりカサブタになって修復されるという作用には血小板の働きが関係しています。血小板は傷を修復する際に様々な種類の成長因子を放出して、人体がもともと備えている自己治癒力を高めて修復を促進していると考えられています。

PRP療法はこの血小板に含まれる成長因子の働きを活用して自己治癒力を高め、様々な関節の疾患・損傷に対して疼痛や症状の軽減を期待する治療です(*6)。変形性膝関節症に対する新しい治療として注目されつつあります。

 

PFC-FD療法とは

PFC-FD療法とは前述のPRP療法由来の治療法です。PFC-FDは「血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したもの(Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dry)」の略称になり、先程のPRP療法同様に血小板の力を活用する治療法になります。

PRP療法では成長因子が含まれた血小板を多く含んだ成分を使用しますが、PFC-FD療法ではそれだけではなく血小板から成長因子を取り出して活用します。

基本的な原理はPRP療法と同じであり、PRP療法同様に症状改善を期待することができます。また、PFC-FDはPRPと違って白血球成分を含まないため、投与後の痛みが出にくいことも特徴です(*2)。

 

含まれる成長因子

PFC-FDに含まれる代表的な成長因子(*2)とその働きは、下記のとおりです。

  • PDGF…細胞増殖、血管の新生、コラーゲンの産生
  • FGF…細胞分裂促進および組織修復、血管の新生
  • EGF…細胞増殖による創傷の治癒、血管の新生
  • VEGF…血管の新生、リンパ管形成、抗炎症作用の増幅
  • TGF-β…骨芽細胞の増殖、創傷の治癒、不要細胞の排除

 

 

 

変形性膝関節症に対しPRPを応用した技術「PFC-FD療法」を検討できる場合

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、加齢を主な原因として膝関節内の軟骨が摩耗していき、最終的には膝関節の変形を引き起こす疾患です。

変形性膝関節症の初期症状は椅子から立ち上がったときや、歩き始めたときに感じる膝の痛みです。最初のうちは一休みすれば痛くなくなりますが、症状が進行すると安静にしていても膝が痛んだり、正座ができなくなるなど、日常生活に影響を及ぼします。

日本では2008年時点でこの変形性膝関節症の自覚症状を持つ人が1,000万人、潜在的な患者数は3,000万人とも考えられており(*3)、高齢化が進む日本における国民病のひとつと言えます。

 

変形性膝関節症にPRPを応用した技術「PFC-FD療法」を検討する場合

変形性膝関節症の治療は一般的に大きく2つに分けられ、手術を行わない保存療法と、手術を行う手術療法になります。

保存療法では症状の進行を遅らせますが、生活に支障が出るほど症状がひどい場合や、保存療法で満足な効果が出ない場合などは手術療法が検討されます。

しかし、実際にはすぐに手術に踏み切れず、「現在受けている保存療法は効かないけれど手術は怖い」「痛みはなんとかしたいけれど術後に趣味のスポーツができなくなることは避けたい」といったお悩みをお持ちの方も少なくありません。そういった場合にPFC-FD療法は検討されます。

 

保存療法のひとつであるヒアルロン酸注射で効果がなかった膝にPFC-FD療法を行って症状の改善が確認されたとする研究結果(*4)や、PFC-FD療法を実施した患者のうち63.9%がヒアルロン酸注射よりも症状改善度が高かったとする研究結果(*5)もあり、一般的な保存療法に効果がない場合にも効果が期待できます。

 

 

変形性膝関節症に対するPRPを応用した技術「PFC-FD療法」の効果とは?

ここでは変形性膝関節症に対するPFC-FD療法の効果を研究結果(*4)をもとにご紹介します。

この研究では、306膝に対してPFC-FDの投与を行い、患者アンケートを用い実臨床における治療成績を測定しています。

 

疼痛軽減

PFC-FD療法を変形性膝関節症に対して実施した際に期待される特徴的な効果は、疼痛の軽減です。痛みが軽減されたかどうかを、下記のような質問項目から点数化します。

  • 膝をひねったり回したりするときの痛み
  • 膝を完全に曲げるとき・完全に伸ばすときの痛み
  • 階段を上り下りするときの痛み
  • 夜、寝ているときの痛み

これらのシチュエーションにおいて痛みをどの程度感じるか、100点満点にならして採点します。この点数が低いと日常的に痛みを感じている度合いが多いと評価します。

 

研究(*4)では、PFC-FD療法実施の前後に上記KOOSで膝の痛みの変化を測定しています。平均49.4ポイントだった治療前の値が、術後1ヶ月後には11.5ポイント改善し、3ヶ月後には14.4ポイント、半年後には16ポイントの改善が見られています。

 

症状改善

PFC-FD療法を変形性膝関節症に実施した場合に症状の改善も認められています。膝の”症状”の変化は、下記のような質問項目から点数化します。

  • 膝に腫れがあるか
  • 膝を完全に伸ばせるか・完全に曲げられるか
  • 動いている最中に膝が引っかかったり、動かなくなったりするか

これらの症状がどの程度出ているか、100点満点にならして計測します。

 

研究(*4)では、これらの膝の症状がPFC-FD療法の実施から1ヶ月後には平均53.1ポイントから62.4ポイントへ7.3ポイント改善し、3ヶ月後には10.5ポイント、半年後には12.2ポイントの改善が見られています。

 

日常生活動作におけるストレス軽減

変形性膝関節症の患者の方は、日常生活動作に支障をきたすことが少なくありません。日常生活動作における膝に関する質問は下記のようなものがあります。

  • 階段の上り下りが困難
  • 座った状態から立ち上がることが困難
  • 買い物に行くことが億劫
  • ベッドから起き上がるときに不自由や困難を感じる
  • 家事を行うときに不自由や困難を感じる

これらのストレス項目について、どの程度当てはまるかを回答してもらい、それを100点満点にならして採点します。

 

研究(*4)では、この日常生活動作で感じるストレスの度合いがPFC-FD療法を実施してどのように変化したかを明らかにしています。PFC−FD療法実施から1ヶ月後には7.7ポイント改善し、3ヶ月後には10.0ポイントの改善が見られています。

 

スポーツ活動におけるストレス軽減

変形性膝関節症に罹患すると、関節機能の低下に伴ってスポーツ活動に取り組むことが困難になるケースが少なくありません。趣味のスポーツに満足に取り組むことができずに悩むこともあるでしょう。

研究では、下記のスポーツ動作をする際にどの程度困難を感じるか、もしくはその動作を全くできないかどうかなどを評価します。

  • しゃがむ
  • 走る
  • ジャンプ
  • 膝をひねったり回したり
  • ひざまずく

 

研究(*4)では、スポーツ活動に関する質問項目において、PFC-FD療法実施から1ヶ月後には12.3ポイント改善し、3ヶ月後には15.4ポイント、半年後には17.2ポイントの改善が見られています。

 

高い持続力

膝関節機能に関する様々な項目において、PFC-FD療法を実施してから12ヶ月後も評価値が改善していることが研究から明らかになっています(*4)。

PFC-FD療法は疼痛の軽減などの、ご紹介してきた効果が期待できますが、単にそれらの効果があるというだけでなく、効果の長期的な持続も期待できる、ということです。

 

 

PFC-FD療法のリスクとは?

 

注射による副反応

PFC-FD療法は注射によって患部に血小板由来の成長因子を注入します。よって、注射に伴う一般的な副反応が生じる可能性があります。例えば、痛み、赤み、腫れ、熱感、皮下出血などが挙げられます。

ですが注射による基本的な痛みがあるのみで、基本的にその日に歩いて帰り、日常生活を送ることができます。

とはいえ、患者本人の血液から精製された液体を体に戻すという治療のため、大きな副反応には繋がりづらいとされており、副反応が生じたとしても概ね一過性で早期に収まり、重篤な有害事象はないと報告されています(*4)。

 

効果には個人差も

PFC-FD療法はPRP療法同様に、患者自身の血液から作られた液体を活用する治療という性質、効果に個人差が生じる治療でもあります。

変形性膝関節症の進行度と治療効果には関連があり、進行度が軽度・中等度(KL1~3)の場合では60~70%の効果があるものの、重度(KL4)の場合では50%ほどとなっています(*4)。どの治療にも当てはまる事ですが、PFC-FD療法においても早期治療が大切と言えるでしょう。

現在、変形性膝関節症の治療を受けているが効果を感じられず、手術以外の改善方法を探している方は、当治療を提供しているクリニックにて医師にご相談されると良いでしょう。

 

 

PFC-FD療法の費用

PFC-FD療法は自由診療であり、治療を提供しているそれぞれのクリニックによって費用が異なります。相場は25〜35万円ほどです。

下記のボタンから提供しているクリニックを調べることができますので、PFC-FD療法の費用について気になる方、また、自宅近くに提供しているクリニックがあるかどうかをお知りになりたい方はぜひご確認ください。

 

 

変形性膝関節症に対しPFC-FD療法を行う際のスケジュール

 

①採血

PFC-FDはPRP同様に患者自身の血液から作製される液体を凍結乾燥させた粉末で、投与時には生理食塩水で溶かして患部に注入します。患者様の血液から作るので、まずは病院での採血が必要です。

まずはPFC-FD療法を提供している病院で医師から治療に関する説明を受け、施術を決めたら採血を行います。

 

②注射

採取された血液を、再生医療センターにて成長因子を抽出して活性化し、凍結乾燥させてPFC-FDを完成し、採血された医療機関にPFC-FDが到着する、という工程に約3週間ほどかかります。

つまり、採血から3週間後以降の日程のどこかで注射をおこなう形になります。PFC-FD療法はこの注射が終われば完了です。

 

 

まとめ

変形性膝関節症は症状が悪化すると手術が検討される疾患です。ですが、「手術をしたほうが良い」と言われてすぐに手術に進める人はなかなか少ないのではないでしょうか。

もし、「現在受けている治療では満足できないけれど、手術は受けたくない」「手術の前に少しでも他の治療を試したい」というご希望があるのであればPFC-FD療法を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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*参考文献*

(*1)戸田 佳孝. 変形性膝関節症に対する多血小板血漿注射作製のための採血前の有酸素運動の有効性. 臨床整形外科. 2020年8月. 55巻8号. 971-975

(*2)二木 康夫. PRPの膝関節内注入療法. 臨床スポーツ医学. 2020年4月. 37巻4号. 478-481

(*3)介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会-厚生労働省. 介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について 報告書. 2008年7月.

(*4)大鶴 任彦 et al. 変形性膝関節症に対するBiologic healing専門クリニックの実際とエビデンス構築.  -基礎と臨床 2020年9月号 特集:幹細胞・PRP・衝撃波−Biologic healingのエビデンス. 関節外科. 2020年9月. vol.39 No.9. 945-954

(*5)戸田 佳孝. 変形性膝関節症に対する多血小板血漿注射の効果と内側半月板逸脱との関連性. 日本関節病学会誌. 2020年. 39巻1号. 15-20

(*6)齋田良知. 外来の工夫No.17 PRP療法. Loco CURE 5(2):166-171,2019

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