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変形性膝関節症 PFC-FD

2021.9.27/最終更新日:2022.8.1

変形性膝関節症に対するPRP療法の効果やメリット・デメリットについて解説

PRP療法とは

PRP療法とは、血液中の血小板を濃縮した液体である多血小板血漿(Platelet Rich Plasma)を活用した治療法のことです。

怪我をしても出血が徐々に収まりカサブタになって修復されるという作用には、血小板の働きが関係しています。血小板は傷を修復する際に様々な種類の成長因子を放出して、人体がもともと備えている自己治癒力を高めて修復を促進していると考えられています。

PRP療法はこの血小板に含まれる成長因子の働きを活用して自己治癒力を高め、様々な関節の疾患・損傷に対して疼痛などの症状改善を期待する治療法です(*1)。変形性膝関節症を代表に、様々な関節疾患に対し活用が始まっています。

変形性膝関節症に対するPRP療法の効果

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、主に加齢によって膝関節内の軟骨が摩耗し、膝の痛みや膝関節の変形を引き起こす疾患です。日本国内で変形性膝関節症の自覚症状を持つ人は1,000万人、潜在的な患者数は3,000万人にものぼるとされています(*2)。

変形性膝関節症の初期段階では椅子から立ち上がったときや歩き始めたときに膝が痛み、症状が進行すると安静にしていても痛みが生じるようになります。

 

変形性膝関節症の症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

変形性膝関節症の症状と特徴|初期から末期までを解説

一般的な変形性膝関節症の治療

変形性膝関節症に対する一般的な治療方法としては、まず筋力トレーニングや痛み止めの内服、湿布などの外用薬の使用、ヒアルロン酸注射などの保存療法を行います。そして、これらの保存療法を続けても効果が感じられなかったり、症状が進行してしまった場合は、手術による治療も検討されます。

   

しかし、中には「手術を受けるのはちょっと怖い」となかなか決断ができなかったり、家庭の事情や持病などの影響で手術が受けられない方もいらっしゃいます。

そこで保存療法と手術療法の間を埋める第3の治療法として活用され始めているのが、PRP療法を含む再生医療やバイオセラピーです。

PRP療法の効果

PRPに含まれる血小板には、傷ついた組織を修復する機能を持つ成長因子が多く含まれています。成長因子には、炎症を抑えたり、自己修復に必要な細胞増殖を促進し、関節軟骨の破壊を誘発する物質を軽減させる作用があるとされており、変形性膝関節症への有効性が実証されつつあります。

血小板に含まれる成長因子とそれぞれの機能としては、下記が挙げられます。(*3, 4

血小板に含まれる成長因子 機能
PDGF
血管新生
細胞増殖
VEGF 血管新生
TGF β
細胞外基質産生
細胞増殖
FGF
細胞増殖
血管新生
EGF
MSCや内皮細胞増殖
他の成長因子を刺激
HGF
血管新生
内皮細胞増殖
IGF1
筋芽細胞増殖
骨格筋修復

 

PRP療法では、血小板に含まれるこのような成長因子が放出されることで、組織修復と抗炎症効果による疼痛軽減が期待できると考えられています。(*4

 

RaeissadatらによるPRP療法とヒアルロン酸注射の効果についての研究では、PRP療法がヒアルロン酸注射よりも変形性膝関節症の症状を改善させ、QOL(quality of life:生活の質)を向上させたと報告されており、従来の治療法では十分な効果が得られなかった患者は検討する価値のある治療法であるとしています。(*5, 6

また、変形性膝関節症患者222名(303膝)を対象に、痛みの指標(VAS:Visual Analog Scale)と膝の機能・生活の質の指標(KOOS:Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score)を用いてPRP療法の効果を検証した研究では、62.7%の患者にPRP療法が有効だったとの報告がされています。(*4

さらに、変形性膝関節症が軽度の場合、7割程度の患者に効果があったことから、早期にPRP療法を行うことでより効果が出やすく、変形性膝関節症の進行予防が期待できることが示唆されています。(*4

PRP療法の安全性について

PRP療法は、厚生労働省が定める「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療法)」のもと、認可を受けた医療施設でのみ行うことができる治療法になります。PRPの調整を行う施設については厳しい安全基準が設けられており、PRP療法の施術の手順も詳細に決められています。

また、PRP療法は患者自身の細胞を使った治療法ですので、副作用などのリスクが低いとされており、比較的安全性の高い治療法であると考えられています。

PRP療法を検討すべき方

変形性膝関節症の方で、特に下記の条件に当てはまる場合は、PRP療法を選択肢のひとつとしてご検討ください。

  • 痛み止めがあまり効かない
  • ヒアルロン酸注射が効かない
  • 何回も注射を受けたくない
  • 現在行っている治療法で痛みが改善しない
  • 手術をするほど重症ではないが、保存療法では効果が感じづらい
  • 医師から手術を勧められたが、手術は避けたい
  • 1回の治療で一定期間効果を持続させたい

※当てはまる方にPRP療法の効果を保証するものではございません。

PRP療法を受けることができない方

一方で、下記に当てはまる方は、PRP療法を希望されても治療を受けられないケースがあります。(*7

  • 出血傾向のある疾患がある
  • 抗凝固薬を使用している
  • 貧血の症状がある
  • 局所に感染がある
  • 重篤な感染症・感染を起こしやすい基礎疾患がある
  • 発熱がある
  • ケロイド体質である
  • 同部位へのPRP注入間隔が3ヶ月に満たない
  • 妊娠している
  • 悪性腫瘍がある、もしくはその可能性がある
  • 肝機能障害のある方

実際にPRP療法が適応かどうかや、PRP療法を受けられるかどうかは、医師による判断が必要になります。PRP療法をご検討の方は、まずは身近にあるPRP療法を行っている医療機関にてご相談ください。

PRP療法を受けるにあたって

治療の流れ

診察 膝の痛みなどの症状がいつ・どの程度生じるのかなど、膝の状態を把握し、PRP療法の適応であるか判断します。
採血 PRPを作製するため、患者さまの血液を採取します。
PRP作製 採取した血液を遠心分離にかけ、PRPを作製します。
PRP注射 膝にPRPを注射します。注射の方法は、医療機関によって目視で行ったり、超音波画像で確認しながら行うなどさまざまです。

費用

PRP療法は保険が適用されないため、治療費は全額自己負担となり、保険診療で行われる治療よりも費用負担が大きくなります。

一般的には3万円〜が目安になります。自由診療であり、医療機関ごとに設定している金額が異なるので、具体的な費用を知りたい方は、PRP療法を実施している身近な医療機関にお問い合わせください。

PRP療法のメリット

入院不要

PRP療法は、原則、手術や入院の必要がない治療法ですので、日帰りで治療を行うことが可能です。

治療後も、日常生活での制限がほとんどないため、早期に復帰を希望するスポーツ選手などにも活用されています。

副作用のリスクが低い

先述でも触れましたが、PRP療法は、簡単にいえば、患者自身の血液を遠心分離にかけ、それにより血小板濃度の高くなった部分を、同じ患者さまの体に戻す治療です。よって、副作用のリスクが低いことも大きなメリットのひとつです。

PRP療法のデメリット

効果に個人差がある

PRP療法は、患者自身の血液から作られた薬液を活用する治療という性質上、効果に個人差があります。

アメリカでPRP療法を行っている286施設を対象に、PRP療法の価格と効果を調査した研究では、「7割以上の確率でPRP療法の効果がある」とした施設は78.5%だったとの報告もあり、必ずしも期待した効果が得られるわけではないとしています。(*5, 8

効果が出やすいか出にくいかには、さまざまな要因が考えられます。現在、変形性膝関節症の治療を受けているが効果を感じられず、手術以外の改善方法を探している方は、まずはPRP療法を提供している医療機関にて、医師にご相談されると良いでしょう。

費用が高い

先述の「費用について」でも触れたように、PRP療法は保険が適用されず、自費診療となりますので、治療費が比較的高額になります。

感染症のリスクがある

注射を行う際、感染症のリスクがあります。ただしこれはPRP療法に限らず、注射を伴う治療法に共通するリスクになります。

PRP療法を応用した「PFC-FD™療法」

PFC-FD™療法とは、先述のPRP療法由来の治療法です。PFC-FD™は「血小板由来成長因子濃縮液を凍結乾燥保存したもの(Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dry)」の略称で、PRP療法と同様、血小板の力を活用する治療法になります。

PRP療法では成長因子が含まれた血小板を多く含んだ成分を使用しますが、PFC-FD™療法ではさらに血小板に内包される成長因子を取り出して活用します。

基本的な原理はPRP療法と同じで、変形性膝関節症の症状改善が期待できます。また、PFC-FD™はPRPと異なり白血球成分を含まないため、患部への投与後、痛みが出にくいことも特徴のひとつです。(*9

 

PFC-FD™療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

PFC-FD™療法(血液由来の成長因子を用いたバイオセラピー)とは

 

また、下記ボタンからはPFC-FD™療法を提供している医療機関を地域別に見つけることができます。治療について医師の説明を受けたい方や、身近な医療機関の治療費について聞きたい方は、下記ボタンからお近くの医療機関を探してみてください。

まとめ

変形性膝関節症は症状が悪化すると手術が検討される疾患です。ですが、「手術をしたほうが良い」と言われてすぐに手術に進める人はなかなか少ないのではないでしょうか。

もし、「現在受けている治療では満足できないけれど、手術は受けたくない」「手術の前に少しでも他の治療を試したい」というご希望があるのであればPRP療法を検討してみてはいかがでしょうか。

 

※注釈

*1…齋田良知(2019). 明日から役立つ外来の工夫 (No. 17) PRP 療法.Loco cure= ロコキュア: 運動器領域の医学情報誌, 5(2), 166-171.

*2…介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会-厚生労働省.介護予防の推進に向けた運動疾患対策について 報告書.2008年7月.

*3…Taylor, D. W., et al. (2011). A systematic review of the use of platelet-rich plasma in sports medicine as a new treatment for tendon and ligament injuries. Clinical journal of sport medicine, 21(4), pp344-352.

*4…齋田良知(2020). 変形性膝関節症に対する新しい治療 “PRP 療法” について.Functional Food Research, 16, FFR2020_p124-129.

*5…戸田佳孝(2019).内側半月板の脱出を伴った変形性膝関節症患者への多血小板血漿注射の効果.別冊整形外科, 38(76), pp95-97.

*6…Raeissadat, S. A., et al. (2015). Knee osteoarthritis injection choices: platelet-rich plasma (PRP) versus hyaluronic acid (a one-year randomized clinical trial). Clinical Medicine Insights: Arthritis and Musculoskeletal Disorders, 8, CMAMD-S17894.

*7…厚生労働省(2018).PRP(自己血高濃度血小板血漿)療法治療説明書.

*8…Piuzzi, N. S., et al. (2019). What is the price and claimed efficacy of platelet-rich plasma injections for the treatment of knee osteoarthritis in the United States?. The journal of knee surgery, 32(09), 879-885.

*9…二木康夫(2020).再生医療とスポーツ医学 (第 4 回) PRP の膝関節内注入療法.臨床スポーツ医学, 37(4), pp478-481.

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