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変形性膝関節症

2022.2.28/最終更新日:2022.4.28

変形性膝関節症になりやすいO脚|そのセルフチェックや注意点

取材先の医師とクリニック

変形性膝関節症とO脚の関係性とは

変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)は、加齢などにより膝関節の軟骨がすり減って炎症を起こし、痛みや腫れといった症状を引き起こす疾患です。
日本における変形性膝関節症の患者数は約2530万人程度とされており、60歳以上の方の有病率は、男性で45%、女性では70%にものぼるといわれています。(*1)

日本人がこの変形性膝関節症になる大きな要因の1つとされているのがO脚です。膝痛を訴える日本人のうち実に9割がO脚であるといわれています。(*2)

O脚の人は、体重がかかる軸となる線(ミクリッツ線といいます)が膝関節の内側にあり、体重が関節の内側にかかりやすくなっています。そのため、本来膝関節全体で支えるべき体重負荷が膝の内側に集中してしまい、次第に膝の内側の軟骨がすり減り、炎症を起こしやすくなってしまうのです。 正常な脚とO脚の場合のミクリッツ線(体重がかかる軸)

 

O脚は自然には治らないため、膝の内側の軟骨は徐々にすり減り続け、変形性膝関節症の症状も進行しやすい状態が続くことになります。
そして膝の内側の軟骨がすり減ることによって、体重がかかる軸はさらに内側にずれていき、O脚の変形がより一層進行していくという悪循環に陥ってしまいます。

軟骨のすり減りが進むと、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)が直接ぶつかるようになることもあります。そうなると、症状に個人差はありますが、強い痛みを感じたり、膝関節がスムーズに動かなくなってしまうことも考えられます。

そのため、変形性膝関節症の予防や、変形性膝関節症による膝痛の対策のためには、O脚の進行予防や、O脚の原因となる日常動作や習慣などの改善が大切です。

 

変形性膝関節症の症状についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
変形性膝関節症の病態(症状)を医師が解説します。

O脚(脚の変形)のセルフチェック方法

まずは、ご自身がO脚かそうでないかを確かめるためのセルフチェック方法についてご紹介します。

O脚のセルフチェック方法

靴を脱いで、鏡の前で両脚をそろえて立ちます。
このとき、両脚の太ももの付け根、膝、ふくらはぎがくっついているかどうか、確認してみましょう。

太ももの付け根、膝、ふくらはぎがくっつく まっすぐな脚
膝に隙間ができる O脚

 

上記方法でチェックした結果、O脚など脚の変形がみられた方は、将来的に変形性膝関節症になるリスクが高いことになります。
該当する方は次項にて紹介している、O脚の進行防止や予防のための運動法を実践してみてください。

O脚予防のための運動法

O脚になると、膝関節は外に向かって湾曲する形になります。

関節が外に向かって湾曲するO脚の脚

 

そこで、膝関節が外側に曲がろうとする力に対して、内側に引き戻す力を強化することで、歩容(ほよう:歩く際の姿勢や動作など)や歩行状態が改善され、O脚の進行を防ぐことができます。また、O脚で膝痛のある方は、膝関節を内側に引き戻す筋力を鍛えることで、膝痛の改善も見込めます。

O脚の進行を防ぐ、膝関節を内側に引き戻す力

 

そのためには、大腿部(太もも)の内転筋(ないてんきん)・大殿筋(だいでんきん)や大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)、大腿二頭筋(だいたいにとうきん)、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)などを鍛えると効果的です。 内転筋・大腿筋膜張筋・大腿四頭筋・前脛骨筋・中殿筋・大殿筋・大腿二頭筋

 

特に内転筋は、股関節を閉じるときなどに使われる筋肉で、O脚に深く関わる筋肉になります。この筋力が衰えると、膝を閉じる力が弱まってしまい、O脚傾向になりやすいです。

また、日頃から運動習慣をつけることで、糖尿病などの生活習慣病を避けることにも繋がります。糖尿病になり血がドロドロの状態になると、骨代謝や軟骨代謝が低下し、膝関節の変形が進行しやすくなります。そのため、こうした生活習慣病を避けるためにも、積極的に運動習慣を取り入れていきましょう。

ここからはO脚の予防や、O脚の歩行状態を改善するための運動法をご紹介していきます。

ただし、生まれつきや幼少期からのO脚、ブラウント病(Blount病:O脚になってしまう先天性疾患)などの疾患によるO脚、あるいは怪我が原因のO脚の場合などは、歩容や歩行状態の改善が難しく、手術が必要な場合もあります。

内転筋を鍛える運動(アダクション)

まずは先述でも少し触れた、筋力が衰えるとO脚になりやすい内転筋を鍛える運動からご紹介します。

          1. まず床に横向きに寝て、ひじを枕にして頭をのせます。上側の手は、胸の前に置いて体を支えます。
          2. 下側の脚はまっすぐ伸ばし、上側の脚の太ももを下側の脚に対して直角になるように前に出して膝を90°曲げます。このときつま先は正面を向くようにしましょう。
          3. 伸ばした脚(下側の脚)を上に上げます。
          4. 3で上に上げた足を、床につかない程度に下に下げます。
          5. 2~4を、内ももを意識しながら20回繰り返します。反対の脚も同様に行います。
          6. 1〜5を1セットとし、1日3セットを目安に行いましょう。

内転筋を鍛える運動(アダクション)のやり方1

 

内転筋を鍛える運動(アダクション)のやり方2

大腿四頭筋を鍛える運動

大腿四頭筋は太ももの前側にある筋肉で、歩く際などに膝を安定させる役割をしています。

下記の大腿四頭筋を鍛えるトレーニングによって、膝関節が外側に歪む力に対して内側に引き戻す筋力を強化でき、O脚の予防効果が見込めます。

          1. 椅子に浅く座ります。
          2. 足首は90度の角度を保ったまま膝を伸ばし、その状態を5秒程度キープします。
          3. ゆっくりと脚を下ろします。
          4. 2~3を10回繰り返し、反対の脚も同様に行います。
          5. 1〜4を1セットとし、1日3セットを目安に行いましょう。

大腿四頭筋を鍛える運動のやり方

骨盤の歪みを改善するストレッチ

骨盤のゆがみもO脚の原因のひとつです。
O脚の方のほとんどは、骨盤が後ろに傾いている傾向にあります。骨盤が後ろに傾いてしまうと、大腿骨は外向きに回転する形になり、O脚になりやすいのです。

骨盤が後傾し、O脚になる様子

 

そこで、骨盤のゆがみを改善するストレッチを行うことで、O脚の予防効果が見込めます。
下記にてそのストレッチ方法をご紹介します。

          1. まずあおむけに寝転がり、膝を立てます。
          2. 両膝はつけたまま、左右に気持ちいいと感じる程度に膝を倒します。
          3. 2を数回繰り返します。
          4. 1〜3を1セットとし、1日3セットを目安に行いましょう。

骨盤の歪みを改善するストレッチのやり方1

 

骨盤の歪みを改善するストレッチのやり方2

セラバンドを用いた運動

O脚予防の運動をする際には、自分である程度運動の強度をコントロールできるセラバンド(ゴムチューブ)を取り入れた運動がおすすめです。トレーニングジムなどにあるようなマシンを使うと、負荷がかかりすぎ膝に痛みが出る場合もありますが、セラバンドを用いれば、自身の体調や膝の状態に合わせて簡単に負荷の調整を行うことができます

また、セラバンドは安価に手に入る上、一つあれば運動のバリエーションが広がることも、メリットとして挙げられます。

ここでは例として、セラバンドを使った内転筋・大腿四頭筋を鍛える運動法をご紹介します。

セラバンドを用いて内転筋を鍛える運動

          1. 柱などにセラバンドの端をかけて、もう片方の端を自身の片脚にかけます。
          2. 脚を閉じるようにセラバンドを引っ張ります。
          3. 脚を元の位置に戻します。
          4. 2〜3を10回程度繰り返し、反対の脚も同様に行います。
          5. 1〜4を1セットとし、1日3セットを目安に行いましょう。

セラバンドを用いて内転筋を鍛える運動のやり方

セラバンドを用いて大腿四頭筋を鍛える方法

          1. あおむけに寝転がり、セラバンドを肩の後ろに通します。
          2. 肩の後ろを通したセラバンドに両足を引っかけます。
          3. 適度な負荷がかかるように、膝を曲げた状態でセラバンドの長さを調整します。
          4. 足を斜め上方向に押し出すようにして、膝を伸ばします。
          5. 足をゆっくり元の位置に戻します。
          6. 4〜5を10回程度繰り返します。
          7. 1〜6を1セットとし、1日3セットを目安に行いましょう。

セラバンドを用いて大腿四頭筋を鍛える方法のやり方

O脚予防のために気を付けるべきこと

ここからは、O脚予防のために普段気をつけるべきことについてご紹介していきます。
下記にてご紹介することをO脚予防のための運動とあわせて行うことで、よりO脚予防の効果も得られやすくなりますので、ぜひ実践してみてください。

O脚予防のための歩き方

普段、がに股歩きになっていると、徐々に足が開き、O脚になりやすくなってしまいます。
そこで、O脚改善のために、歩く際に意識した方がいいことを下記にご紹介します。

  • 背筋は伸ばして、重心は少し前にかかるよう意識しましょう。
  • つま先は正面を向けて歩きましょう。(O脚の方はつま先が外に向く傾向があります)
  • 足を踏み出す際は、いつもより1~2㎝高く足を上げるよう意識しましょう。
  • 踏み出した足が地面に着くときには、足裏全体で着くようにしましょう。親指の付け根・小指の付け根・かかとの3点が地面に着くよう意識することで、衝撃やねじれを吸収でき、膝関節への負担を緩和できます。
  • 歩いているときは膝を伸ばし切らず、軽く曲げた状態を保ちます。膝を伸ばし切った状態で足が地面に着くと、高いところから飛び降りたような強い衝撃が膝関節に伝わってしまいます。膝関節を軽く曲げた状態で足を地面に着けることで、膝関節に伝わる衝撃や負担を減らすことができます。

O脚予防のための座り方

正しい姿勢で座ることで、骨盤の歪みが改善し、O脚の予防効果も期待できます。
そのためには、下記にご紹介することを意識してみましょう。

  • 椅子には深く腰掛けるようにします。
  • 座面に対し、骨盤は垂直に立てるようにしましょう。これにより骨盤が後ろに傾いている状態を改善でき、膝が内側を向きやすくなります。
  • かかとは床につけるようにしましょう。
  • 両膝はつけた状態を保ちます。常に両膝をつけることで、内転筋の筋力を向上できます。

O脚の方は健康で規則正しい食生活を

健康的で規則正しい食生活は誰にとっても大切なことですが、O脚の方は特に意識しましょう。O脚になると、膝の内側に負荷が集中しやすくなり、膝関節内側の軟骨がすり減っていきます。そこに肥満が加わると、さらに膝への負荷が増加し、O脚の悪化や変形性膝関節症発症のリスクが高くなってしまいます。

また、食生活の乱れは、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高めます。先述の「O脚予防のための運動法」でもご説明したように、こうした生活習慣病もO脚が進行する要因になります。

O脚や変形性膝関節症の予防のためには、日頃からしっかりと食習慣を管理し、体重を適正に保つことが大切です。

O脚の方は靴選びにも注意

O脚の方は、靴選びにも注意が必要です。脚にO脚変形がみられる方の中には、普段ハイヒールを履いている方もいらっしゃいます。しかしハイヒールは膝への負担を増加し、O脚を悪化させたり、膝に痛みが出やすくなってしまいます。男性でO脚の方の場合、ビジネス用の先のとがった革靴なども、避けた方がいいでしょう。

O脚の方には自分の足のサイズに合った運動靴がおすすめです。膝痛予防・対策にもなりますので、O脚や膝痛でお悩みの方はできるだけ運動靴を履くことをおすすめします。

変形性膝関節症になってしまった場合の治療法

ここまで、変形性膝関節症の予防にも繋がるO脚の予防方法についてご紹介してきました。
しかし、実際に変形性膝関節症になってしまった場合、どうすればいいのでしょうか?

変形性膝関節症の治療法は、「保存療法」と「手術療法」の2つに大きく分かれます。
症状の進行度に関わらず、変形性膝関節症の初期治療では、まず保存療法を行うことが一般的です。

保存療法には、薬を用いて治療を行う「薬物療法」、運動によって膝を支える筋力の向上や関節の可動域(曲げ伸ばし出来る角度)拡大を行う「運動療法」、患部を温めたり、通電を行ったりする「物理療法」などがあります。

一定期間、保存療法による治療を行っても症状が改善しなかったり、痛みなどの症状がひどく、日常生活に支障が出ている場合は、手術による治療も検討されます。

その他、変形性膝関節症の治療法には、血液や脂肪など人の体組織を利用した治療「バイオセラピー」も広まりつつあります。変形性膝関節症治療に対するバイオセラピーには、自身の血液に含まれる血小板を活用した「PFC-FD™療法」、脂肪から抽出した間葉系幹細胞を培養し、関節腔内に注射を行う「ASC治療」があります。(*3)

こうした治療は、保存療法を行ってもなかなか症状が改善しないけれど、手術を受けることには抵抗があるという方や、仕事・家庭背景・全身の合併症などさまざまな理由により手術を受けることができない方にとっての新たな選択肢として、活用され始めています。(*3, 4)

 

バイオセラピーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
関節の悩みに、入院のいらないバイオセラピーを

変形性膝関節症になりやすいO脚 まとめ

歩容や歩行状態を改善し、O脚の進行を抑えるためには、日頃から運動することが大切です。膝痛がある方は、膝に負担がかからない程度の運動を取り入れるようにしましょう。

また、変形性膝関節症は予防が何よりも大切な疾患です。O脚の進行を防止することは、変形性膝関節症の予防にもなりますので、O脚の方は本記事でご紹介したO脚予防のための運動法や注意点などを意識してみてください。

変形性膝関節症によるO脚にお悩みの方で、保険診療ができない、手術を勧められたけれどできれば手術は避けたいといった場合は、バイオセラピーも選択肢の一つになります。O脚や膝痛でお悩みの方は、こうした治療法も候補の一つとしてご検討いただければと思います。

 

※注釈

*1…Yoshimura N, et al. (2009). Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study. Journal of Bone and Mineral Metabolism. 27, 620-628.

*2…「COLUMN1 O脚・X脚診断。」,『Dr.クロワッサン 関節痛を自分で治す。』銅冶 英雄監修,2018年2月15日号,p.28-29,マガジンハウス.

*3…大鶴 任彦ほか(2020).「変形性膝関節症に対するBiologic healing専門クリニックの実際とエビデンス構築」『関節外科 基礎と臨床』39(9), pp945-954.

*4…桑沢 綾乃ほか(2020).「変形性膝関節症に対する再生医療を利用した保存療法の実際-PRP・間葉系幹細胞・セルフリー療法-」『臨床スポーツ医学』37(7), pp.843-851.

変形性膝関節症の症状とは?
変形性膝関節症の症状について医師が解説

 

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