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変形性膝関節症 PFC-FD ASC

2022.4.7/最終更新日:2022.4.7

変形性膝関節症のステージ分類とその診断方法について医師が解説

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変形性膝関節症とは

変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)は、膝関節で衝撃を吸収したり動きを滑らかにする役割を持つ関節軟骨が、加齢などを原因としてすり減り炎症を起こして痛みや腫れを生じたり、膝関節が変形したりする疾患です。

この変形性膝関節症は徐々に進行していく疾患で、長い時間をかけてゆっくりと関節軟骨がすり減っていきます。自覚症状が出始め、病院で受診する頃には、すでにある程度病状が進行しているケースがほとんどです。

そのため、変形性膝関節症の診断の際は、どの程度症状が進行しているのかの把握を行い、そのステージ分類ごとに適切な治療を行うことになります。

 

ここからは、変形性膝関節症のステージ分類について解説していきます。

変形性膝関節症のステージ分類

変形性膝関節症の進行度は関節の隙間がどれだけ狭くなっているかや、骨棘(こつきょく)や軟骨下骨硬化(なんこつかこつこうか)がみられるかどうかによってステージが分類されます。

骨棘とは、骨への荷重負荷や摩耗によってできるトゲのような骨のことです。骨は摩耗すると再生しようとしますが、摩耗した箇所に過剰に荷重がかかっていると横にはみ出して再生してしまいトゲ=骨棘となります。

また、軟骨下骨硬化は、関節軟骨の下にある骨(軟骨下骨:なんこつかこつ)が正常時より硬くなっている状態をいいます。関節軟骨がすり減ってくると、軟骨下骨にかかる荷重が大きくなります。すると軟骨下骨は、その負荷に対応するために硬化します。

変形性膝関節症は進行していくに従い、この骨棘や軟骨下骨硬化が多く見られたり、関節の隙間も徐々に狭くなっていくため、レントゲン(X線)写真でこれらの状態を確認してどのステージまで進行しているのか判断します。

分類法はいくつかありますが、国際的にはKL分類(Kellegren-Lawrence分類)が用いられています。KL分類では、膝関節に変形が全くない状態をグレード0とし、変形性膝関節症の進行度をグレード1~4の4段階に分類しています。(*1

グレード0

大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間の関節の隙間が十分にあり、関節の変形もない、正常な状態です。

変形性膝関節症グレード0の膝関節の様子

グレード1

軟骨下骨硬化がわずかに見られ、骨棘が見られる場合もあります。

変形性膝関節症グレード1の膝関節の様子

グレード2

正常な関節と比較して、25%以下の関節裂隙狭小化(かんせつれつげききょうしょうか:大腿骨と脛骨のすきまが狭くなってしまう現象)がみられます
グレード1と同様、わずかに骨棘が確認できます。

変形性膝関節症の初期段階といわれ、一般的にグレード2以上の場合に変形性膝関節症と診断されます。
立ち上がりや正座、階段の昇降の際に、一時的な膝の痛みやこわばりを感じるなどの症状が見られるようになります。

変形性膝関節症グレード2の膝関節の様子

グレード3

正常な関節と比較して、50~75%程度の関節裂隙狭小化や複数の骨棘、軟骨下骨硬化がみられるようになります。

この段階になると、階段の昇降時などの膝の痛みがひどくなったり、膝の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなり、正座をすることが難しくなることがあります。
人によっては膝に水がたまり、腫れてくることもあります。

変形性膝関節症グレード3の膝関節の様子

グレード4

正常な関節と比較して、75%以上の関節裂隙狭小化がみられ、関節裂隙が消失することもあります。
さらに大きな骨棘や明確な骨端部の変形、骨硬化もみられるようになります。

この頃になると、じっとしていても常に膝が痛むようになったり、膝が思ったように動かなくなり、日常生活に支障をきたすようになってきます。

変形性膝関節症グレード4の膝関節の様子

 

ただし、上記でご紹介した変形性膝関節症のステージ分類に基づいた進行と、痛みをはじめとした症状の重さは一致しない場合もあります。これは痛みの感じ方には個人差が大きいためです。
ご自身の膝の状態を正しく把握し、治療するためにも、膝の痛みや違和感、腫れなどがある方は身近な整形外科を受診するようにしましょう。

 

グレード0 グレード1 グレード2 グレード3 グレード4
骨棘 ×
軟骨
下骨
硬化
×
関節
裂隙
狭小化
× ×
25%以下の
狭小化
50~70%程度の
狭小化
75%以上の
狭小化
主な
症状
正常な状態 自覚症状はほぼないが、膝に一時的な痛みやこわばりを感じることもある 膝の一時的な痛みやこわばり
膝の痛みやこわばりの悪化
膝に水がたまる
常に膝が痛むようになる
膝の痛みやこわばりで、日常生活に支障が出る

変形性膝関節症におけるステージ分類の診断方法

変形性膝関節症の診断では主に、問診や診察、レントゲン検査(X線撮影)を行うことで、現在どのステージまで進行しているのか判断します。さらに必要に応じて、MRI検査などを行うこともあります。

まず診察やレントゲン撮影を行い、その結果、変形性膝関節症以外の疾患が疑われる場合、MRI検査を追加で行うことで診断をする場合があります。また、診察にて軽度の変形性膝関節症であると判断される場合、軟部組織の状態によって強い痛みを感じることがあります。このような場合もMRI検査を行う場合があります。

後述にて解説するレントゲン検査では骨の部分しか映らないため、骨の状態や、大腿骨と脛骨の間にどれだけ隙間があるのかを確認することはできますが、靭帯や軟骨などの軟部組織の状態を確認することができません。MRI検査では軟部組織の撮影が可能ですので、靭帯や軟骨、半月板などの軟部組織の状態を確認するためにMRI検査を実施します。

ここからは、変形性膝関節症のステージ分類診断で行う問診・診察、レントゲン検査についてそれぞれ解説していきます。

問診・診察

まず問診では、主に膝の痛みなどの自覚症状の確認を行います。

診察では、医師が触診を行い、膝関節の痛みや関節可動域(どれだけ関節の曲げ伸ばしができるか)、腫れ、変形、関節の不安定性などを調べます

レントゲン検査

変形性膝関節症においてどのステージ分類にあたるのかを診断するためには、レントゲン検査(X線撮影)を行います。

レントゲン検査では、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の隙間がどれだけあるかや(=関節裂隙狭小化の進行度の診断)、骨棘が形成されているかどうか、O脚・X脚の変形が見られるかをもとに、変形性膝関節症のどのステージ分類にあたるのか判断します。

レントゲン検査の結果を説明する医師

変形性膝関節症のステージ分類ごとの主な治療法

変形性膝関節症の治療法は、主に「保存療法」と「手術療法」の2つに分けられます。

「保存療法」には、膝を支える筋力向上により症状改善を目指す“運動療法”、薬で痛みや炎症を抑える“薬物療法”、ヒアルロン酸注射やステロイド注射などの“注射療法”、サポーターや足底板(インソール)などを用いる“装具療法”、電気や熱などを用いて血流改善を目指す“物理療法”などがあります。

そして「手術療法」には、膝関節内ですりきれた軟骨片などを取り除く“関節鏡視下手術”、脛骨を一部切って脚の変形を矯正する“骨切り術”、傷んだ膝関節を人工の膝関節に入れ替える“人工膝関節置換術”があります。

これらの治療法の中から、変形性膝関節症の各ステージ分類に応じてどの治療を行うのか解説していきます。

すべてのステージ分類にて行う治療

先述にてご紹介した変形性膝関節症のすべてのステージ分類において、基本となる治療が“運動療法”です。薬物療法や手術を行う場合でも運動療法によって症状の進行を抑えることは必要不可欠です。

変形性膝関節症による膝の痛みのためにずっと安静にしていると、膝を支える筋肉が衰えたり、膝を曲げ伸ばし出来る角度が狭まり、膝を支える筋肉や膝関節への負担が増加します。すると痛みなどの症状がさらに進行、痛みを避けるためにもっと外出を控えることで一層の筋力低下を引き起こし、膝関節へのより一層の負担増大をもたらして変形性膝関節症が悪化する、という悪循環に陥ってしまうリスクがあります。

こういった悪循環を防ぐためにも継続して運動療法に取り組み、膝関節を支える筋肉を鍛えて維持することが変形性膝関節症の悪化を防ぎ、自立した日常生活を送るうえで非常に重要です。

変形性膝関節症がステージ分類2の治療

先述にもあるように、実際の診察の際には、一般的に変形性膝関節症のグレード2のステージ分類から変形性膝関節症と診断されます。

変形性膝関節症の初期治療としては、鎮痛剤などの薬物療法や、ヒアルロン酸注射やステロイド注射などの注射療法が行われることが多いです。ただし、これらはあくまで対症療法であり、現在感じている痛みや炎症を抑えることが主な目的になります。薬を使用して一時的に痛みや炎症を抑えても、膝周囲の筋肉が衰えているような状態だと、その後も膝関節に負担がかかり続けることになり、いずれまた痛みが生じてしまいます。そのため薬物療法を行う場合でも、並行して運動療法を継続し、膝周囲の筋肉を鍛えたり、膝の柔軟性を保つことで、膝関節への負荷を軽減し変形膝関節症のステージ進行を予防することが大切です。

変形性膝関節症がステージ分類3以上の治療

グレード3以上のステージ分類になると、膝が痛む頻度が増えたり、常に痛むため、薬で痛みや炎症を抑えます。しかし、このような保存療法を一定期間続けても、症状に改善がみられなかったり、痛みなど症状がひどく日常生活に大きな支障をきたしているような場合は、骨切り術や人工膝関節置換術などの手術療法が検討されます。

変形性膝関節症のステージ分類ごとの治療法のまとめ

ただし、前述でもご説明したように、ステージごとの自覚症状には個人差があるため、実際の治療の流れは症状に応じて異なることがあります。

 

変形性膝関節症の治療法について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

変形性膝関節症に対する治療の種類や特徴について医師が解説

薬や手術以外の治療の選択肢「バイオセラピー・再生医療」

先述の通り、保存療法を行っても痛みが改善・緩和せず日常生活に大きな支障をきたしている場合は手術が検討されます。しかし、いきなり手術に踏み切れる方は実際には少なく、「できれば手術はしたくない」という方も多くいらっしゃるでしょう。

患者さん自身の血液を活用するPRP療法の応用技術「PFC-FD療法」や、脂肪由来の幹細胞を用いる再生医療「ASC治療」などのバイオセラピーが、そのような方たちの新たな選択肢として活用され始めています。

これらの再生医療・バイオセラピーは、中でも変形性膝関節症が軽度の方により高い効果を発揮しやすい傾向があると報告されています。(*2, 3) しかし、ステージ3、4の比較的重度の変形性膝関節症のステージ分類の方でも症状の改善がみられるケースもあり、変形性膝関節症がある程度進行しているものの手術に抵抗を感じる方にも検討いただける治療法です。

これらの治療は、骨切り術や人工関節置換術のように入院の必要もなく、治療に際して体にかかる負担も手術より少なく済みます。

PFC-FD療法、ASC治療のデメリットとしては、保険適用外の自由診療で行われる治療なので、治療費は全額自己負担となってしまうことや、効果に個人差があること、比較的新しい治療法であるため未発見のリスクの可能性があることなどが挙げられます。膝に注射を打つ様子

これらの治療法について詳細を知りたい方は、下記記事から詳細な説明をご覧になれます。

これらの治療を検討したいという方は、下記ボタンからバイオセラピーを活用している医療機関を探すことが可能です。変形性膝関節症の治療では、まずは医師に相談して進行度に応じた治療を行うことが重要です。

どのような治療を選択すればいいかわからない、どのような治療法があるのか知りたいという方も、ぜひ医療機関にてご相談ください。

変形性膝関節症のステージ分類について まとめ

変形性膝関節症は早期の診断・治療が大切です。
変形性膝関節症により膝に痛みを感じているほとんどの方が、膝を支える筋力の低下や膝関節の柔軟性の低下などが原因です。

変形性膝関節症の治療に関しては、関節内と関節外の両方の治療が必要になります。
関節内には「PFC-FD療法」のようなバイオセラピーや「ASC治療」のような再生医療、関節外に対しては「リハビリテーション」が効果的です。

診察の際には、患者様の疑問に対して「膝の状態がどうなっているか?」「今後、進行を予防するためにはどうするのが良いか?」など、納得・ご理解いただいた上で治療を進めることが大切です。特にバイオセラピーや再生医療は新しい治療法ですので、どのような治療かわからないという方も多いかと思います。治療に関して不明点などございます場合は、担当医師にご相談の上、ご自身が納得の上で治療を進めるようにしましょう。

 

※注釈

*1…Kellgren JH, Lawrence JS (1957). Radiological Assessment of Osteo-Arthrosis. Ann Rheum Dis, 16(4), 494-502.

*2…大鶴 任彦ほか(2020).「変形性膝関節症に対するBiologic healing専門クリニックの実際とエビデンス構築」『関節外科』39(9), pp.945-954.

*3…齋田 良知(2020).「変形性膝関節症に対する新しい治療“PRP療法”について」『Functional Food Research』16, pp124-129.

 

※参考文献

…杉山 肇ほか(2012).『名医が語る最新・最良の治療 変形性関節症(股関節・膝関節)』.法研.

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